スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

利益優先が主義つくり出す「しょう油もどき」

日本の食文化で世界に誇れる発酵食品がありますね。私も味噌としょう油は毎日のように口にしていると思います。そのしょう油について、市場経済を勝ち抜くためには、いろいろな工夫がなされていることを知りました。 安部司『食品の裏側』(東洋経済新報社、…

クライメートゲート事件から考える科学者像

気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、以下「IPCC」)は国連機関の一つで、その報告書は世界中の2,000名を超える専門家が協力して数年かけて厳密な検証を経て作成されます。だから誤りなどあるわけがないと誰もが思う…

プーチン大統領の演説を通して視る世界観

9月30日に行われた、ロシアのプーチン大統領の演説の翻訳に接しました。東京都市大学名誉教授の青山貞一氏によるものですが、次のリンクは非常に興味深い内容でした。プーチン大統領演説 2022年9月30日 全文日本語訳速報 kp.ru ロシア語翻訳・青山貞一(東京…

地球温暖化説に利用された「ホッケースティック曲線」

以前、地球温暖化説はある一定の結論に誘導する目的があるのではないかということを書きました。本当は人類の活動が気候変動に大きな影響を与えていないにもかかわらず、あたかも人間活動のために地球温暖化が進行中であるという印象を人々に植え付けている…

16時間の空腹を確保する朝だけ断食

一日二食の生活を続けて10年以上経過しますが、体調は良く健康診断でも指摘事項はありません。10年前に比べると最近は、朝抜き断食や空腹の時間を16時間確保するなどの書籍が目につくようになりました。私が最近読んだだけでも、三浦直樹『"空腹"が健康をつ…

小麦に含まれる「グルテン」が問題である理由

最近、小麦の弊害について解説する書籍が増えています。今まで小麦を食べることで健康を害することがわからなかったのか、わかっていても一般書籍として出版することが難しかったのかどちらなのかと思うことがあります。 書籍も医師が書いたものが多く、学術…

地球温暖化説に煽られず踏みとどまる

私たち人間の活動が地球温暖化を引き起こしているのかどうかは検証が難しいテーマです。科学者でさえその答えを見出すことは難しいのですが、はっきりと人類の経済活動等によって排出される炭酸ガスが地球温暖化の影響であると断言する人もいます。それは、…

「日本の農業は過保護」ということはない

日本の農業は過保護だから競争力がないなど、市場原理主義者がよくいうことですが、本当にそうでしょうか。他の先進国と比較するとそんなことはないようです。たとえば、アメリカが農作物の輸出国になっていますが、多い年には穀物輸出の補助金だけで1兆円…

私大推薦入試の惨状を知り国立大学志望へ

自分の三人の子どもたちが順次大学受験をする時期に来ています。三人とも大学には行きたいようなので、否定するつもりはありません。そんな時期にネットでみつけた、船橋伸一=河村振一郎『夢をかなえる大学選び』(飛鳥新社、2019年)を読む機会がありまし…

企業が儲けるために奪われる食の安全

日本の食の安全がなぜここまで脅かされているのでしょうか。各種規制が非常に甘く、農薬や食品添加物の氾濫について冷静に考えると、日本社会でこれだけ病人が増えているのはうなずけます。 手許にあるパンでもお菓子でもなんでもいいですが、表示をみるとシ…

日本は世界の大手食品メーカーの草刈り場

日本の食の安全は守られていないと思われます。守りたいけれど、守れないほどの圧力が、アメリカ政府を通して、グローバル企業からかかているのだと。そして、危険な食の多くが日本に押し付けられており、それを消費するのが日本に住む人々。 ここでいう危険…

陰謀論の背後にある事象から考える憲法論

憲法の問題はなかなか答えが出ないテーマです。改憲派と護憲派、保守と革新、保守とリベラルなどいろいろな対立の構図ができて、議論は常に平行線をたどります。私の現在のポジションは、日本国憲法のままでいいという立場です。 理由は、たとえ自主憲法では…

ワクチン懐疑派の論文は意外に多い(5)

Neil Z. Miller, Miller's Review, Miller’s Review of Critical Vaccine Studies (2016)には、400本以上の論文要旨が掲載されていますが、私が紹介できているのは、その5%以下です。それぐらい多くの論文が存在しているにもかかわらず、ほとんど世間に紹介…

ワクチン懐疑派の論文は意外に多い(4)

Neil Z. Miller, Miller's Review, Miller’s Review of Critical Vaccine Studies (2016) を読んでいると、現在一部で騒がれている新型コロナ・ワクチンへの懐疑的な議論が、実は昔から存在している他のワクチンについても当てはまることに気づきます。新型…

ワクチン懐疑派の論文は意外に多い(3)

Neil Z. Miller, Miller's Review, Miller’s Review of Critical Vaccine Studies (2016)に掲載されている論文要約の紹介を継続いたします。 私たちは権威のある研究者の論文は正しいと信じ込むことがあります。あの人がこう書いているのだから間違いないだ…

ワクチン懐疑派の論文は意外に多い(2)

私の故郷の札幌で、大手の病院が相次いでワクチン接種の中止を決定いたしました。札幌手稲渓仁会病院、札幌徳洲会病院、札幌禎心会病院などです。手稲渓仁会病院は、実家からも近く、地域では有名な病院なので、近隣に住んでいる人にはそれなりの影響がある…

ワクチン懐疑派の論文は意外に多い(1)

ワクチン懐疑派の論文を400本以上要約した書籍、Neil Z. Miller, Miller's Review, Miller’s Review of Critical Vaccine Studies (2016)を読み終えたので整理しておこうと思います。自分の専門でもないし、内容も楽しいわけでもないので、読了までに約1年か…

他国にも緊急事態条項があるからは根拠にならない

自民党の日本国憲法改正草案が出された2012年に、憲法学者や政治学者が呼びかけ人となって、立憲デモクラシーの会という団体が立ち上がりました。どうもそのメンバーが中心になって出版されたと思われる、奥平康弘ほか編『改憲の何が問題か』(岩波書店、201…

憲法改正はイデオロギーを捨てて考える

選挙が終わり、自民党による憲法改正案や緊急事態条項の創設といったことが議論の遡上に載ってきました。今まで真剣に考えたことがない人も、ここで少しは憲法について考えておいた方がよいのかもしれません。そのとき、保守や革新、右派や左派といったイデ…

要人暗殺にみられる一定のパターン

元首相が暗殺されるという事件が起きました。日本だけはそのような物騒なことは起こらないと思っていた人も多いと思います。この治安の良い日本で起きた暗殺事件だけに、衝撃も大きかったのかもしれません。偶然にも過去の暗殺の事例について分析した資料を…

地球温暖化と炭酸ガス排出に相関はない

炭酸ガスによる温室効果が地球温暖化に影響しているということが、多くの人々の共通認識になってしまいました。本当にそうなのか、と誰も疑わないのは、気候変動に関する政府間パネル(以下「IPCC」)という団体によって発信される報告書に、そのように書いて…

誤った地球温暖化論に切り込む一人の研究者

炭酸ガスの温室効果によって地球温暖化が生じているということに、懐疑的な見解を表明している研究者は多いですが、その中でも元祖的な存在の一人に赤祖父俊一氏がいると思います。アラスカ大学国際北極圏研究センターの所長を長く勤め、オーロラに関する研…

社外取締役というバブル

社会人教授の次は、もっと大きなバブルが生じていると思われる、社外取締役という仕事について考えてみたいと思います。これも自分にとって身近なテーマですが、社外取締役の仕事は、業務執行役員、すなわち経営陣に対する監督が重要なものとなります。決し…

社会人教授というバブル

社会人教授という職種はバブル化しているようです。その意味するところは、ある一定数の人が実態以上に評価されている、あるいは本当の実力が不明瞭でありながら、その地位に就けている状態といえそうです。私にとって比較的身近な存在なので、現在バブルが…

社会人大学院生は10年から20年後の成果を目指す

1990年代初めから大学では大学院重点化ということが行われています。大学における教員のポストが増えるわけでもないのに、なぜ研究者を養成する大学院を強化していったのでしょうか。いろいろな理由があるようですが、酒井敏『野蛮な大学論』(光文社新書、2…

「自然死」を実践した偉大な医師

父が年齢を重ねて、人生の終わりに近づいてきたと感じたときに、平穏死や自然死に関する書籍を何冊か読みました。誰であろうと、自然な形で逝けるのが理想だと思い、病院で多くの管につながれて終わりを迎えるのは不自然だと思ったからです。 いくつか読んだ…

「だ・である調」から「ですます調」へ

はてなブログからのメール案内で、ブログを「開設して2年が経ちました」と連絡がありました。ちょうど、文体を「ですます調」に変更しようか考えていたので、このタイミングで変えることにしました。このようなシンクロニシティ、いわゆる共時性に従うことを…

研究の世界に「選択と集中」は必要か

日本の研究力の低下に関する記事をよく目にするようになった。天野郁夫『国立大学・法人化の行方』(東信堂、2008年)によると、国立大学については、法人化後に外部資金獲得の涙ぐましい努力や、経費節減のための人員配置の効率化、職員の企画力や業務遂行…

オンライン教育に過度の期待はできない

オンライン教育というものをどのように考えていくべきか。もろ手を挙げて賛成とはいかないかもしれない。自分自身は、大学院の博士課程をほぼオンラインで受講している。約1年3か月になるが、大学院に行った回数は2回である。そして、博士課程の場合は、指導…

デジタル化で幸せになれる人は多くない

デジタル化で世の中は究極の監視社会となる。金融機関は、私たちの信用スコアを持ち、一人ひとりを格付けする時代がくる。たとえば、今でも信用調査によって、カードローンで借りることができる金額の上限が人によって異なるが、デジタル化が進めば、もっと…