働き方
タイトルに対する私の答えは、声を大にして「そんなことはありません!」です。 私は大学院修了後、損保会社に勤務していましたが、在職期間中はすべて地方での営業職でした。東京の本店勤務という経験は皆無です。私が入社したのは、1993年で同期の総合職が…
これからの組織のあり方や、ネットワークのあり方について示唆に富んだ記述に接しました。安富歩『満洲暴走 隠された構造』(角川新書、2015年)によると、正規軍はゲリラに負けるといいます。圧倒的な組織力と火力、展開力を誇る正規軍が、なぜゲリラに負け…
わが国の雇用慣行について、基本的に終身雇用だから、というのはよく聞く話ですね。でも以前から、この終身雇用という日本語が不思議でした。終身雇用といいつつ、定年制があるのですから、終身ではありません。終身の意味は、命を終えるまでの間、すなわち…
ジョブ型雇用が日本社会で浸透しにくい状況が続いています。その理由が二つあると思います。その一つに、経営者がジョブ型雇用を理解していないことです。もう一つが、ジョブ型雇用の旗振り役であるはずの人事部が、ジョブ型人材ではないということがありま…
日本では高校生のときに、文系と理系という分け方で進路を決めます。大学の受験科目がそのような分類になっているので仕方がないのかもしれません。しかし、人生のその後の可能性を考えた場合、そんなに簡単に決めてもいいものでしょうか。大学に入学してか…
リスキリング(reskilling)という言葉が注目されるようになりました。和訳するなら技能再教育という意味ですが、リカレント(recurrent)教育と何が違うのでしょう。リカレントは回帰教育などと訳され、社会人の継続的な学び直しの文脈で使われることが多い…
ジョブ型かメンバーシップ型か、どちらがよいかというのは不毛な議論かもしれない。どちらを心地よいと思うかは人によって異なるし、人の一生の間で最初はメンバーシップ型がよいと思っても、年齢を重ねるとジョブ型がよいと考える人もいるかもしれない。 あ…
神戸大学の学部と大学院の労働法合同ゼミでお話をさせていただく機会を得た。おそらく、学生以上に自分が多くの学びを得た。なぜ日本で長期インターンシップが根付かないのか、少し課題がみえてきた。今のところの結論は、日本の教育制度が変わらない限り、…
阿部彩『子どもの貧困』(岩波新書、2008年)を再読してみた。貧困を扱う書籍としては古典といってもいいくらい有名ではないだろうか。その書籍から重要な気づきを得た。その本の中に、私あるいは世の中の多くの人が勘違いしているキーワードをみつけた。そ…
これから労働者はスペシャリストになっていく。雇用形態も多様になり、今までのように労働者が会社と労働契約を締結する形態と、個人事業主として業務委託契約を締結する形態の間に位置するような複合的な契約形態も出てくるかもしれない。いずれにしても旧…
管理職は組織の中で社内規則に従い一定の権限が与えられている。仕事における特定の事柄に関して管理職は承認する権限を持っていることが一般的であるが、この管理職の権限は使いようによって、大胆にビジネスを創造する場合と、ビジネスの停滞をもたらす場…
私が1993年損害保険会社に入社したころ、部長や支店長という人は50歳から55歳が多く個室があり専用車もついていた。格が上の支店などは専属の運転手もいた。しかし、55歳を過ぎると役職定年ということで突然ポストがなくなり給与も下がったところで、このよ…
私の場合、2050年に80歳を過ぎているので生きているかどうか微妙である。これから30年後の日本社会はどのような風景になっているのか。在宅勤務のおかげで住宅街の中にあるスーパーにも昼間の時間帯に行けることがある。そして、高齢者の多さに圧倒され、レ…
「正規雇用者」と「非正規雇用者」あるいは「正社員」と「非正社員」、どれも正式な定義は存在していない。強いていうなら、①労働契約の期間の定めがなく、②所定労働時間がフルタイムで、③直接雇用であるのが正規雇用であったり正社員であったりするのであろ…
ジェネラリストかスペシャリストのどちらで生きるべきかの議論は永遠に続くと思われるが、やはりジェネラリストを選んでもスペシャリスト的な生き方をしないと最後は詰まる。実は、組織内でジェネラリストとして出世した人も出世しなかった人も、定年退職と…
2年前に1万円の家賃値下げに成功したので、今回も10年目になる戸建ての賃貸借契約の更新前に家賃値下げ交渉をした。結果、5千円家賃を下げてもらえることで合意した。最初、1万円の値下げで交渉をスタートするものの、貸主側もいわゆるサブリースのビジネス…
政策シンクタンクPHP総研「経営者が日本の働き方を変える」PHP研究所(2018年)の提言レポートは、めずらしく労働者目線の訓示的な内容だけではなく、むしろ経営者を叱咤激励するようなレポートで興味深い。 メンバーシップ型雇用は終わりジョブ型雇用に移行…
違う世界をみるという意味では、転職と海外旅行は似ている。大きな違いは、転職の場合、旅立った地点に戻ることはめずらしいということである。ただ筆者の場合は、そのめずらしいケースの一つである。一度退職した会社に戻るという経験をした。自分だけかと…
引き続き、リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に濱口桂一郎氏のジョブ型人材の解説があるので少し触れる。 これから主流になるかもしれないジョブ型正社員と従来の正社員の違いは何か。ジ…
リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に示唆に富んだ内容があった。日本の労働者の時間当たりの賃金は、1989年と2008年を比較すると大卒、高卒ともに低下している。しかも、大卒でも高卒で…
ここにきて在宅勤務の問題点が指摘されているようである。コミュニケーションが不足するため、イノベーションが起きないという。あるいは、横にいる同僚に相談ができないので、ちょっとした業務に関する相談ができないというのもある。また、上司が部下の勤…
透明性が確保された労働市場では多くの人の働き方が変わる。まず、労働者を評価するのは上司だけではなく労働市場になるので、ゴマをすることの効果は半減する。それどころか長期的にみれば、多くの人は上司の評価より、市場の評価を信じるようになるので、…
メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行するにあたって公正な労働市場を整備することが必須である。労働市場の透明性を高め、労働者が容易に自分に合った仕事がみつけられ、賃金にも納得感を得られることが要請される。今の日本の労働市場では企業によ…
ジョブ・カード制度は、2008年に制度導入されたもので、職務経験や学習歴、職業訓練歴、学歴、免許、資格などを記入していく履歴書のようなものである。履歴書と何が違うのかというと書式が決まっていて、その書式にそって自分のことを記入していくことにな…
メンバーシップ型からジョブ型に社会が移行するとしても、怖がる必要はない。人に仕事が与えられていた社会が、仕事に人が当てられる社会に変わるだけのことだからである。今までは活躍するかしないかわからない新卒学生を採用し、無理やり仕事を与えて育て…
最近、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に日本社会が移行してきているようであるが、しっかり目の前の仕事をして自分を磨いている限り、変化を恐れる必要はない。このメンバーシップ型とジョブ型の違いをうまく表現する日本語に、「就社型」と「就職型…
人材紹介会社の活動は1990年代後半から徐々に活発になってきたと思われる。実際に登録すると、想定される転職後の年収が提示されるサービスがあったと記憶する。当然、人材紹介会社としては伝統的な日本企業にしがみつく優秀な人材に転職を促し、自分たちの…
グローバルニッチトップ(global niche top)はビジネスの世界でもあまり普及していない概念であるが、これからの事業モデルを考えるうえで重要だと思われる。もともとは、ドイツの経営学者でコンサルタントのハーマン・サイモンの『隠れたチャンピオン(hid…
スペシャリストとしてある分野に精通してくると業界誌に論文を投稿したり、セミナー講師を依頼されたりする機会があるかもしれない。その場合、原稿料や講師料という名目で報酬を得ることがある。会社によって異なるであろうが、就業規則に副業や兼業を規制…
労働法の専門家である、大内伸哉氏が、『会社員が消える』(文春新書、2019年)という刺激的なタイトルの本を出している。そして、これからはプロ人材あるいはスペシャリスト人材にならなければいけないことが提言されている。今後、AIやロボットが導入され…