スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

働き方

他者と競争しない「ニッチ(居場所)」を探す

グローバルニッチトップ(global niche top)はビジネスの世界でもあまり普及していない概念であるが、これからの事業モデルを考えるうえで重要だと思われる。もともとは、ドイツの経営学者でコンサルタントのハーマン・サイモンの『隠れたチャンピオン(hid…

論文投稿やセミナー講師は副業ではない

スペシャリストとしてある分野に精通してくると業界誌に論文を投稿したり、セミナー講師を依頼されたりする機会があるかもしれない。その場合、原稿料や講師料という名目で報酬を得ることがある。会社によって異なるであろうが、就業規則に副業や兼業を規制…

労働者に有利な日本の労働法を徹底活用する

労働法の専門家である、大内伸哉氏が、『会社員が消える』(文春新書、2019年)という刺激的なタイトルの本を出している。そして、これからはプロ人材あるいはスペシャリスト人材にならなければいけないことが提言されている。今後、AIやロボットが導入され…

在宅勤務は国際業務の生産性を上げる

在宅勤務のメリットは時差を克服することだといえる。今まで、日本時間の朝9時から夕方5時までの時間帯でしか国際電話ができなかったと考えると、大きな制限といえる。おそらく、夜遅くまでオフィスに残る、あるいは朝早く出社するなど工夫をしていたと思う…

コロナ禍は労働者が幸せを追求するチャンス

布留川正博『奴隷船の世界史』(岩波新書、2019年)によると、奴隷船の船長は、奴隷の年齢や肌の色つや価格などを慎重に吟味し、折り合わない場合は取引を拒否した。奴隷の数が増えると奴隷には番号が付けられ、航海日誌にはその特徴が記される。また、奴隷…

幸運を期待しつつニッチ分野を見つけるには

自分の専門とするニッチ分野はどのように選んだらよいのだろうか。基本的に自分が情熱を感じる分野で、学びが心地よいと感じることが望ましい。長く継続学習できるためには好きな分野でなければ続かない。いくつか自分でワクワク感を感じられる分野が見えて…

日本の名刺は専門家を育てるつもりがないことの表明

これから、ジョブ型労働市場になると社会人一人ひとりは、自分は何ができるのか、何が専門なのかレッテルを貼ることになる。みんなそのレッテルをもとに労働市場で仕事を探し、会社はそのレッテルをみながら人材を採用する。すでに、リンクト・イン(LinkedI…

職務給は専門家になるインセンティブ

国際競争にさらされる昨今、これ以上メンバーシップ型を維持するのは、日本企業にとってコストの面でも競争力強化の点でも無理があり、今後はジョブ型に変化していくことになる。なぜなら、少子高齢化で労働人口が増えないなかで、あらゆる年代の層で男女問…

メンバーシップ型からジョブ型へ

濱口佳一郎『若者と労働者』(中公新書ラクレ、2013年)によると、日本型労働市場を「メンバーシップ型」と呼び、欧米型労働市場を「ジョブ型」と呼んでいる。濱口氏の作った造語であるが、双方の労働市場の特徴をよく表している。 日本は「就職」ではなく「…

会社への従属から業界への帰属へ

たとえば、社会人にとって博士号への挑戦は、たとえ学位が取れようと取れまいと、多くの人にとって価値のある取り組みになる。何十年も実務経験を積んできた内容を理論的・体系的に分析し整理することで、その後の業務に大きな意義を与えてくれる。たとえば…

結婚とは「戦友」を得ることである

昔ながらの考えで女性は結婚で退職するという発想もある。いろいろな生き方があるので「寿退社」を否定するつもりはないが、それでも20代で勝負しておくメリットはある。結婚すると人生のステージでいろいろな課題が目の前に現れる。小さなことから大きなこ…

女性にも有利な「30歳定年制」

30歳定年制は、女性にも望ましい結果をもたらす。むしろ、女性が活躍するためにも導入すべき制度である。女性の場合、30歳前後といえば結婚して出産の時期となり、いったんは職場を離れなければならない。よって、大学を卒業後、会社に入社した数年間は、必…

30歳までに「職人」になる

30歳までに職人になることを提唱したい。30歳までにある特定分野の技術を身につけ、他の会社でも通用するスキルとすることが重要である。その会社でしか通用しないものでは困る。あらゆる人材が、どのように社会へ価値を提供できるかを考えていかなければな…

「30歳定年制」を導入すべき理由

ところで、私見としては40歳定年制にするなら30歳定年制にしなければいけないと思う。もし、日本の労働市場で、新卒一括採用が変わらないのであれば、大学卒業後に入社した人は、30歳までの有期雇用契約を締結する。あるいは、10年の有期雇用契約でもよい。…

「40歳定年制」が提案する終身雇用の終焉

柳川範之氏の『日本成長戦略40歳定年制』(さくら舎、2013年)によれば40歳定年を推奨している。いくつかポイントがあるが、技術革新のスピードが速くて、若い時代に身につけた技術がいつまでも使えるものではないこと、長寿化で働く期間が長くなったこと、…

定年延長で市場価値が落ちる

高年齢者雇用安定法のおかげで65歳まで定年延長する人が増えている。しかし、郡山史郎氏の『定年前後の「やってはいけない」』によると定年延長はしないほうがよいことになる。望ましくは55歳前後で退職し、次の仕事に突入してしまうことがよいそうだ。そし…

変わる日本の労働市場で職人になる

わが国では、解雇権濫用法理によって雇用の維持が最も尊重され、一方で労働条件の柔軟な変更が認められ、企業内部で柔軟性を維持して調整がなされるという。そして日本の対極に位置するアメリカは「随意雇用(employment-at-will)」契約で解雇はなんら条件…

サラリーマンから職人への逆行

近年、働き方改革などと言われ、日本の雇用形態も大きく変わろうとしている。今までは、長期的雇用契約とそれに付随した企業内訓練、社内競争を経た昇進による勤労意欲の増進など、「ゆりかごから墓場まで」的な労働環境が整えられていた。しかし、尾高煌之…

ローマ時代と人工知能時代の比較

増田四郎氏の『ヨーロッパとは何か』(岩波新書、1967年)によると、ローマ帝国の時代に帝国領内にゲルマン人が入ってきたとき、多くのローマ人貴族たちは、ゲルマン人の少ない田舎へ逃げていく傾向があったという。しかし、能力のある人は転換期に対応する…