スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

競争社会が正しいという幻想から降りる

ビジネスの世界も学術の世界も常に競争すると成果が出るようにいわれていますが、私はどちらの世界も徹底的に競争を回避してきました。その結果、どちらの世界でも満足のいく成果を出すことができました。

競争を回避するとは、競合の少ない分野をみつけてコツコツ継続するだけのことです。継続の先には、当該分野におけるダントツの一位が待っています。「一位」といっても競合がいないだけのことなのですが。私の結論は、もう競争社会から降りた方がいいということです。それでも競争が善だと思う人は続けたらよいと思いますが、その先にあるものは疲弊だと思います。

他社あるいは他者と比べるというのはベンチマークとして便利なのですが、そもそも自分の成果と他社あるいは他者とは何の関係もないはずです。自分のやった仕事や研究が、果たしてどれだけ人を支援できたかが重要で、利益が出たとか○○賞を受賞できたというようなことは、後から結果としてついてくるものです。

隙間分野を探してそこで専門性を高めれば、その情報や知識を必要とする人に頼られます。その後、自分がやりたいと思うことは、いろいろ実現しやすくなります。

たとえば、特定分野についてダントツの強みがあれば、やりたい仕事ができます。サラリーマンをやっていると人事異動でやりたくない仕事もさせられたり、そもそも仕事が与えられないというようなことも生じるわけですが、そのようなことがなくなります。

あるいは、学問の世界で研究成果を公表したいと思えば出版という形で情報発信もできるようになります。ダントツの分野があれば、世の中でその分野のテーマで書籍を執筆できる人がいないわけなので、自分がやらざるを得ないことになります。声をかければ手を挙げてくれる出版社も出てきますし、研究素材を提供してくれるサポーターも出てきます。

このようにニッチな分野でスペシャリストをめざしておけば、おおむねやりたいことが実現するようになります。競争をしなかったからこそ確保できた立ち位置で、自由に好きなことをさせてもらっていることに感謝できるし、その幸運をテコに周囲に尽くしていけば幸せも感じられるわけです。よって、私には競争を煽る人のことが理解できないのです。その先に幸せがあるとうは到底思えないからです。