スペシャリストのすすめ

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法学

他国にも緊急事態条項があるからは根拠にならない

自民党の日本国憲法改正草案が出された2012年に、憲法学者や政治学者が呼びかけ人となって、立憲デモクラシーの会という団体が立ち上がりました。どうもそのメンバーが中心になって出版されたと思われる、奥平康弘ほか編『改憲の何が問題か』(岩波書店、201…

憲法改正はイデオロギーを捨てて考える

選挙が終わり、自民党による憲法改正案や緊急事態条項の創設といったことが議論の遡上に載ってきました。今まで真剣に考えたことがない人も、ここで少しは憲法について考えておいた方がよいのかもしれません。そのとき、保守や革新、右派や左派といったイデ…

緊急事態条項は不要 - 憲法と法律のバランス

5月3日の憲法記念日に、岸田首相が憲法改正や緊急事態条項の新設についてメッセージを発し、それに対して反発の声が上がった。そもそもなぜ憲法改正や緊急事態条項が必要であるかの議論は十分なされているとは思われないが、そこに注意を払ってこなかった国…

消極的人権侵害と憲法(2)

憲法の人権規定は、私人相互間の関係については、私的自治の原則を基本に考えるべきで、憲法上の人権そのものが関知しない領域と考えられていた。しかし、社会経済の発展の過程で、国家と同じように社会的権力を持つ組織団体が現れた。そして、これらの組織…

消極的人権侵害と憲法(1)

一連のパンデミックに対する政府の対応について、憲法問題を私人相互間の問題にすり替えた事例が多かったように思う。あるいは、政府がうまく憲法問題を回避しながら、人権保障に真剣に取り組まなかったのではないかと疑いたくなることが多かったのではない…

ワクチンパスポート制度の先にある危機

東京都でワクチン接種証明アプリの運用が開始された。ただし、あまり浸透していないようである。そもそも、このようなアプリの登録は個々人で行われ、協賛店になるかどうかの判断も事業者にある。もちろん、国や自治体から強制されるものではない。差別的な…

非正規雇用は交渉力のある人のために

有期労働契約は、短期の契約の更新を重ねることにより、正社員より処遇を低く雇用調整をしやすい「非正規労働者」を雇用する手段として利用されてきた。しかし、労働契約法が改正され、2013年4月1日以降に締結された有期労働契約は、5年を超えて更新された時…

緊急事態条項の危険性を知る

憲法に緊急事態条項を新設することが以前から議論されているが、結論は不要である。緊急事態条項は、権力者が自分の権力を誇示することに濫用されてしまう危険があるので、想定される緊急事態は、その他法令で対処すべき問題である。ましてや、パンデミック…

ワクチンを打たない少数派を守る憲法

日本においてワクチンの強制接種やワクチン・パスポートの導入は不可能だと思われる。日本国憲法のもとに、1948年予防接種法が制定されているが、当時は予防接種法3条において予防接種が義務規定になっており、1項には「何人も、この法律に定める予防接種を…

基本的人権をもう一度考える

PCR検査を受けたときに医師から受け取る書面がある。題は「新型コロナウイルスの検査とご自宅での注意事項(○○市保健所からのお願い)」とあり、「新型コロナウイルスの検査結果が判明するまでは、外出を控え、人との接触を避け、ご自宅での療養をお願いいた…