スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

アメリカの大学基金は日本で成功しない

2020年11月27日の日本経済新聞・私の履歴書に元東京大学総長の小宮山宏氏の「信託基金」に関する記事を目にした。ハーバード大学やスタンフォード大学といったアメリカの私立大学では卒業生から寄付を集め、巨額資金によって投資による運用益を得ているとい…

20年ぶりのスリランカと無形資産

最初のスリランカ訪問から20年が経過した2018年に、再びスリランカへ行くことになった。目的は子どもを再訪することではなく単なる家族旅行であった。はじめて訪問したときのスリランカの印象はとても素晴らしいもので、いつか再訪したいと思っていた。1回目…

スリランカの子どもの支援から学ぶ

「スリランカの反政府ゲリラによる北東部の政府軍基地への一斉攻撃で、ゲリラ側の戦死者は、330人にのぼるといわれます。遺体収容に当たっている政府軍によると、ゲリラ側の死者の多くは10代のあどけない少女で、判明しただけで70体はあるといい、爆弾を体に…

ビジネス法や英語より大切なこと

2年前に1万円の家賃値下げに成功したので、今回も10年目になる戸建ての賃貸借契約の更新前に家賃値下げ交渉をした。結果、5千円家賃を下げてもらえることで合意した。最初、1万円の値下げで交渉をスタートするものの、貸主側もいわゆるサブリースのビジネス…

変な英語はOKでも変な日本語はダメ

以前、ある外国人の就職を世話する機会があった。ヨーロッパ人の女性で英語はビジネスで使えるレベルで日本語は日本語能力試験2級である。日本語能力試験2級は、「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使かわれる日本語をある程度理…

経営者に向けたジョブ型雇用の提言

政策シンクタンクPHP総研「経営者が日本の働き方を変える」PHP研究所(2018年)の提言レポートは、めずらしく労働者目線の訓示的な内容だけではなく、むしろ経営者を叱咤激励するようなレポートで興味深い。 メンバーシップ型雇用は終わりジョブ型雇用に移行…

「新しい生活様式」から普通へ回帰する

人口4,000名のフランスの村に住む家族が新型コロナウイルスに感染した。その後、重症化することもなく自然に治癒した。はるかに人口密度が高い首都圏の人々が感染していないといえるのだろうか。多くの人にとっては「無症状の風邪」といえる新型コロナウイル…

ヨーロッパ中心主義からくる偏向

高校時代の世界史の教科書を本棚にみつけた。村川堅太郎ほか『詳説世界史(改訂版)』(山川出版社、1985年)である。13世紀当時、地球は丸いということを信じる人は少なかったようであるが、ジェノヴァの船乗りコロンブスは、アフリカまわりよりも西方へ直…

価値判断を留保する余裕を持つ

自分の知らない世界や自分の価値観と異なる考えに直面したとき、自らの価値判断を留保することで将来の可能性を広げることができる。たとえば、卑近な例をあげると、ウイルスに対するマスクの効果について価値判断をせず、自分の頭の中に価値判断を留保する…

アウトプットを前提にインプット

効果的なインプットを実行したい場合は、アウトプットが前提のほうがよいと思われる。たとえば、本を書く、論文を書く、ブログを書くという前提でインプットすると、漫然と本を読み漁るよりも効率的である。 筆者の場合、論文を書く前提で書籍を読むと、引用…

プレプリントの論文は価値がないのか

プレプリント(preprint)の論文とは査読前論文で、厳格な審査を経ていない論文がインターネット上に掲載されるものである。とくに自然科学の分野などは、時間との勝負がある場合や、実験結果の検証が不十分な段階でもある程度結果に確信が持てる場合は、プ…

英語圏以外の世界観を獲得しにいく

長男がアメリカの高校に交換留学したいということで、いくつか高校留学をアレンジしている団体の資料を調べた。世界をみる、世界を知るといっても、多くはアメリカが留学の派遣先だった。戦後、アメリカが日本を親米国にしようと、多くの日本人留学生を受け…

転職の効用は海外旅行と同じ

違う世界をみるという意味では、転職と海外旅行は似ている。大きな違いは、転職の場合、旅立った地点に戻ることはめずらしいということである。ただ筆者の場合は、そのめずらしいケースの一つである。一度退職した会社に戻るという経験をした。自分だけかと…

非情な財界人を生んだ「総合職」

引き続き、リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に濱口桂一郎氏のジョブ型人材の解説があるので少し触れる。 これから主流になるかもしれないジョブ型正社員と従来の正社員の違いは何か。ジ…

日本の経営者こそ「ジョブ型人材」に

リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に示唆に富んだ内容があった。日本の労働者の時間当たりの賃金は、1989年と2008年を比較すると大卒、高卒ともに低下している。しかも、大卒でも高卒で…

ジョブ型雇用の視点で在宅勤務を再考する

ここにきて在宅勤務の問題点が指摘されているようである。コミュニケーションが不足するため、イノベーションが起きないという。あるいは、横にいる同僚に相談ができないので、ちょっとした業務に関する相談ができないというのもある。また、上司が部下の勤…

透明性の高い労働市場で起こる変化

透明性が確保された労働市場では多くの人の働き方が変わる。まず、労働者を評価するのは上司だけではなく労働市場になるので、ゴマをすることの効果は半減する。それどころか長期的にみれば、多くの人は上司の評価より、市場の評価を信じるようになるので、…

ジョブ型雇用における公正な労働市場

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行するにあたって公正な労働市場を整備することが必須である。労働市場の透明性を高め、労働者が容易に自分に合った仕事がみつけられ、賃金にも納得感を得られることが要請される。今の日本の労働市場では企業によ…

経済界に「フランス革命」は必要か

デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(東洋経済新報社、2019年)によると、日本は賃金を上げる必要があるという。そして、日本は生産性が低いので中小企業を統合して、大企業と中堅企業へと再編すべきということのようだ。アナリストとして自身が入手…

価値ある日本のパスポートを使う

今から20年以上前の話であるが、ルーマニアに旅行中、首都ブカレストで2回ほどニセ警官につかまった。彼らはおよそ3人1組になっている。オデオン劇場の前を歩いていると、まず一人の男が私に近づいてくる。ちょうど周りには人がいなかった。 「すみません、…

能力があっても報われない世界

1999年当時、私がルーマニアという国をみてみようと思ったきっかけは、日本に出稼ぎにきているルーマニア人女性が、本当に能力がありながら仕事がみつからず、アジアの辺境の国、日本に来ていることに驚きを感じたからである。ブカレスト大学法学部に入学し…

「ジョブ・カード」で自分にレッテルを貼る

ジョブ・カード制度は、2008年に制度導入されたもので、職務経験や学習歴、職業訓練歴、学歴、免許、資格などを記入していく履歴書のようなものである。履歴書と何が違うのかというと書式が決まっていて、その書式にそって自分のことを記入していくことにな…

「ジョブ型人材」の戦わない戦略

メンバーシップ型からジョブ型に社会が移行するとしても、怖がる必要はない。人に仕事が与えられていた社会が、仕事に人が当てられる社会に変わるだけのことだからである。今までは活躍するかしないかわからない新卒学生を採用し、無理やり仕事を与えて育て…

「メンバーシップ型雇用」の行き詰まり

最近、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に日本社会が移行してきているようであるが、しっかり目の前の仕事をして自分を磨いている限り、変化を恐れる必要はない。このメンバーシップ型とジョブ型の違いをうまく表現する日本語に、「就社型」と「就職型…

転職市場のリクルーターは人生の伴走者

人材紹介会社の活動は1990年代後半から徐々に活発になってきたと思われる。実際に登録すると、想定される転職後の年収が提示されるサービスがあったと記憶する。当然、人材紹介会社としては伝統的な日本企業にしがみつく優秀な人材に転職を促し、自分たちの…

「ダイバーシティ」の本当の価値はリスク管理

組織のダイバーシティを促進すると、製品開発やマーケティングなどによい影響を与え、企業のパフォーマンスが向上するという説や実証研究は多い。ダイバーシティを推進している企業の業績が良いのか、業績の良い企業がダイバーシティを推進しているのかは定…

1999年ルーマニアの年収は20万円

1999年、ルーマニアに留学しようとある団体の奨学金に申し込んだことがある。 「厳しい寒さが続いていますがご健勝のこととお慶び申し上げます。 さて、ご応募いただいた「2000年度日本人留学生奨学生」は30名の採用予定に対し544名と極めて高い競争率となり…

「人種差別」は世界共通のことと割り切る

最近は多くの外国人が日本に訪れ働くようになった。以前は3Kといわれる仕事が多かったが、近年は外資系企業の日本進出のため、いわゆるホワイトカラーの進出が目覚しい。また、留学生が非常に増えてきている。これは日本人学生が海外へ留学することが減って…

「科学」よりも「直感」に頼ることも

少しずつ新型コロナウイルスがアジア地域の人にとっては、極論するなら鼻かぜ程度ではないかということが主張されてきている。井上正康『本当はこわくない新型コロナウイルス』(方丈社、2020年)も、上久保氏らの免疫獲得説にフォローするように、日本は弱…

「善悪の判断」を放棄することの快適さ

髙島清『バラータ』(郁朋社、1999年)によると、ルーマニア大統領チャウシェスクの時代、「ルーマニア人のような優秀な民族は、数が多くなくてはならない」というのが大統領の口癖であったという。人口を増やすことについては、チャウシェスクの妻、副大統…