最近、歯医者さんに検診に行ってきました。歯科医も私の歯をよく確認もせずに、大丈夫ですよ、みたいな反応なので、これは頼りにならないと思い、少し勉強しようと思いました。そこで購入した本が、長尾周格『歯医者が虫歯を作っている』(三五館、2014年)。
最初は、歯磨きが効果がないことや、フッ素が毒であること、歯間ブラシでプラークコントロールも意味がないこと等、いろいろな指摘があり、想定された内容ではありました。しかし、徐々に核心的な内容に入るにつれて多くの気づきが得られました。
そもそも虫歯はどうしてできるのか。虫歯は、口の中にいる虫歯菌が糖を原料に酸を作り、その酸が歯を溶かすことで起きるということでした。そして、この虫歯菌(正式には「う蝕原性細菌」)は口腔内常在菌であり、誰の口の中にもいる非常にありふれた菌であり、口内から完全に除菌することは不可能ということ。ということで、ここまで読んで「糖」が悪者であることが理解できました。
そもそも人間は、糖質が不足している時に体内で糖を作り出す「糖新生」という機能を持っているので、砂糖を摂取する必要はないそうです。実際に、世界の先住民族たちは砂糖をまったく摂りませんが、みんな結構で虫歯にもなりません私も昔からアイヌ民族の食生活には興味がありました。。砂糖は「百害あって一利なし」ということのようです。
そこで、先住民族の食生活というものを参照することになるわけですが、まず人類の700万年の歴史の中で、虫歯や歯周病がみられるようになったのは、食糧生産がはじまった、今から約1万1000年前からだそうです。それまでの狩猟採集生活では虫歯とは無縁だったわけです。この話、糖尿病の原因は何かという観点でも通じていますね。そして、先住民族といえども、近代食を摂るようになった人たちは虫歯になっているそうです。これは、歯磨き云々というより、何を食べるかで虫歯になるかならないかが決まるということです。
そして、長尾医師が一番強調するのが、砂糖を摂らないこと。ただ、砂糖は麻薬と同じで依存症があるそうです。甘いものを摂ると、美味しいと感じるだけではなく、心地良いと感じます。このメカニズムは、ドラッグを摂った時の状態に似ており、脳内でドーパミンが分泌され、快楽を感じることになります。
これに抵抗するのは至難の業ですね。私も羊かんやケーキが大好きで、コーヒーと一緒に頂くことがあります。しかも、コーヒーに砂糖も入れて。これではいけないと思い、ここ数日、コーヒーに砂糖を入れるのをやめてみました。クッキー等と一緒に味わう分には、すでにクッキーに砂糖が入っているので不要だという屁理屈で。どこまで続くかわかりません。でも人は麻薬を断つことができるのですから、同じく砂糖を極力摂らない生活もできると思います。
砂糖についてもっと学びたくなり、川北稔『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書、1996年)を読みはじめました。砂糖の謎に迫ってみます。