スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

2020-01-01から1年間の記事一覧

日本は監視社会を受け入れるのか

コロナ対策で各国の対応が分かれる。スマホから得られる情報を利用して個人の行動を監視し、感染症の拡大をコントロールしようとする社会が中国や韓国、台湾、シンガポールなどで、都市封鎖によるコントロールを試みているのがヨーロッパやアメリカの一部の…

パラレル・ワールドを体感する

在日ミクロネシア日本大使館のウェブサイトに「ミクロネシア出入国にあたっての諸情報」があり、 2020年2月4日に次の記載がある。 「 1月31日にミクロネシア大統領府が発出した新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言に関して、2月3日より、ミクロネシア政…

まやかしの雇用形態「正規雇用」

「正規雇用者」と「非正規雇用者」あるいは「正社員」と「非正社員」、どれも正式な定義は存在していない。強いていうなら、①労働契約の期間の定めがなく、②所定労働時間がフルタイムで、③直接雇用であるのが正規雇用であったり正社員であったりするのであろ…

一市民の「コロナ終息宣言」と展望

世の中、新型コロナウイルスを抑え込もうと必死である。犠牲者ゼロを達成しなければならないような雰囲気もあるが、それはまるで意図的に自らの体を傷つけるような自傷行為のようでもある。コロナの波が来るたびこのようなことをしていては社会や経済がもつ…

人生を導くみえない力を信じる

とくに若い方は、いろいろ将来のことを悩んでいることであろう。これだけ先行きが不透明であれば、だれでも心配になる。そんなとき、悩んでも仕方がないので流れに身を任せるという選択肢もあることを思い出したい。 これから、どのような職業に就いて、どの…

PCR検査の精度の低さと専門家の躊躇

コロナ感染者数が増えているというニュースが盛んに流れる。でも毎年のインフルエンザも同じ波を示すのではないか。冬は乾燥し感染しやすいだけではないか。想定内と考えれば何も問題は起きない。人口動態統計によると2018年のインフルエンザ死亡者数は3,325…

コロナで作られた数字に追い込まれる弱者

新型コロナによる死者数は水増しされている。S・バクティ=K・ライス『コロナパンデミックは、本当か?』(日曜社、2020年)によると、ドイツにおいてコロナの犠牲者の解剖を行った医師がいる。その結果、犠牲者の誰一人として健康な人がいなかったという。…

ジェネラリストの悲劇を回避する

ジェネラリストかスペシャリストのどちらで生きるべきかの議論は永遠に続くと思われるが、やはりジェネラリストを選んでもスペシャリスト的な生き方をしないと最後は詰まる。実は、組織内でジェネラリストとして出世した人も出世しなかった人も、定年退職と…

組織に異質な人材を抱え込む大切さ

アリ社会は、自らの組織を長期的に存続させるために、非常に多様な人材(アリ)で構成された集団を形成していることがわかっている。長谷川英祐『働かないアリに意義がある』(中経の文庫、2016年)によると、アリ社会では、よく働くアリは3割程度で、残りの…

自然に振舞い免疫システムを形成する

腸内には免疫細胞が体全体の約7割と集中的に存在しており、病原菌などの有害なものを攻撃して、有害物質がそのまま取り込まれないように防御してくれている。免疫システムの鍵となるのが腸内フローラであるが、そもそも腸内フローラとは何だろうか。人間の腸…

人としての能力を奪うIT技術に注意

最近、30年前に書いた修士論文の要約を書く機会があった。30年前の論文は400字詰め原稿用紙に手書きである。幸い、20年前にその手書き論文を業者にお願いして、ワードでタイプしてもらっていたので、ワード原稿で読むことができた。さぞかしひどい論文かと思…

「子どもの教育は親の責任」ではない

日本の大学における財源確保のために大学基金の設立よりも、公共投資として大学への予算配分を大幅に増やすべきだと思う。これは長期的な投資であり、リターンは必ずあるであろう。 図表は過去の大学の初年度納付金の推移を、国立大学と私立大学に分けて比較…

アメリカの大学基金は日本で成功しない

2020年11月27日の日本経済新聞・私の履歴書に元東京大学総長の小宮山宏氏の「信託基金」に関する記事を目にした。ハーバード大学やスタンフォード大学といったアメリカの私立大学では卒業生から寄付を集め、巨額資金によって投資による運用益を得ているとい…

20年ぶりのスリランカと無形資産

最初のスリランカ訪問から20年が経過した2018年に、再びスリランカへ行くことになった。目的は子どもを再訪することではなく単なる家族旅行であった。はじめて訪問したときのスリランカの印象はとても素晴らしいもので、いつか再訪したいと思っていた。1回目…

スリランカの子どもの支援から学ぶ

「スリランカの反政府ゲリラによる北東部の政府軍基地への一斉攻撃で、ゲリラ側の戦死者は、330人にのぼるといわれます。遺体収容に当たっている政府軍によると、ゲリラ側の死者の多くは10代のあどけない少女で、判明しただけで70体はあるといい、爆弾を体に…

ビジネス法や英語より大切なこと

2年前に1万円の家賃値下げに成功したので、今回も10年目になる戸建ての賃貸借契約の更新前に家賃値下げ交渉をした。結果、5千円家賃を下げてもらえることで合意した。最初、1万円の値下げで交渉をスタートするものの、貸主側もいわゆるサブリースのビジネス…

変な英語はOKでも変な日本語はダメ

以前、ある外国人の就職を世話する機会があった。ヨーロッパ人の女性で英語はビジネスで使えるレベルで日本語は日本語能力試験2級である。日本語能力試験2級は、「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使かわれる日本語をある程度理…

経営者に向けたジョブ型雇用の提言

政策シンクタンクPHP総研「経営者が日本の働き方を変える」PHP研究所(2018年)の提言レポートは、めずらしく労働者目線の訓示的な内容だけではなく、むしろ経営者を叱咤激励するようなレポートで興味深い。 メンバーシップ型雇用は終わりジョブ型雇用に移行…

「新しい生活様式」から普通へ回帰する

人口4,000名のフランスの村に住む家族が新型コロナウイルスに感染した。その後、重症化することもなく自然に治癒した。はるかに人口密度が高い首都圏の人々が感染していないといえるのだろうか。多くの人にとっては「無症状の風邪」といえる新型コロナウイル…

ヨーロッパ中心主義からくる偏向

高校時代の世界史の教科書を本棚にみつけた。村川堅太郎ほか『詳説世界史(改訂版)』(山川出版社、1985年)である。13世紀当時、地球は丸いということを信じる人は少なかったようであるが、ジェノヴァの船乗りコロンブスは、アフリカまわりよりも西方へ直…

価値判断を留保する余裕を持つ

自分の知らない世界や自分の価値観と異なる考えに直面したとき、自らの価値判断を留保することで将来の可能性を広げることができる。たとえば、卑近な例をあげると、ウイルスに対するマスクの効果について価値判断をせず、自分の頭の中に価値判断を留保する…

アウトプットを前提にインプット

効果的なインプットを実行したい場合は、アウトプットが前提のほうがよいと思われる。たとえば、本を書く、論文を書く、ブログを書くという前提でインプットすると、漫然と本を読み漁るよりも効率的である。 筆者の場合、論文を書く前提で書籍を読むと、引用…

プレプリントの論文は価値がないのか

プレプリント(preprint)の論文とは査読前論文で、厳格な審査を経ていない論文がインターネット上に掲載されるものである。とくに自然科学の分野などは、時間との勝負がある場合や、実験結果の検証が不十分な段階でもある程度結果に確信が持てる場合は、プ…

英語圏以外の世界観を獲得しにいく

長男がアメリカの高校に交換留学したいということで、いくつか高校留学をアレンジしている団体の資料を調べた。世界をみる、世界を知るといっても、多くはアメリカが留学の派遣先だった。戦後、アメリカが日本を親米国にしようと、多くの日本人留学生を受け…

転職の効用は海外旅行と同じ

違う世界をみるという意味では、転職と海外旅行は似ている。大きな違いは、転職の場合、旅立った地点に戻ることはめずらしいということである。ただ筆者の場合は、そのめずらしいケースの一つである。一度退職した会社に戻るという経験をした。自分だけかと…

非情な財界人を生んだ「総合職」

引き続き、リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に濱口桂一郎氏のジョブ型人材の解説があるので少し触れる。 これから主流になるかもしれないジョブ型正社員と従来の正社員の違いは何か。ジ…

日本の経営者こそ「ジョブ型人材」に

リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に示唆に富んだ内容があった。日本の労働者の時間当たりの賃金は、1989年と2008年を比較すると大卒、高卒ともに低下している。しかも、大卒でも高卒で…

ジョブ型雇用の視点で在宅勤務を再考する

ここにきて在宅勤務の問題点が指摘されているようである。コミュニケーションが不足するため、イノベーションが起きないという。あるいは、横にいる同僚に相談ができないので、ちょっとした業務に関する相談ができないというのもある。また、上司が部下の勤…

透明性の高い労働市場で起こる変化

透明性が確保された労働市場では多くの人の働き方が変わる。まず、労働者を評価するのは上司だけではなく労働市場になるので、ゴマをすることの効果は半減する。それどころか長期的にみれば、多くの人は上司の評価より、市場の評価を信じるようになるので、…

ジョブ型雇用における公正な労働市場

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行するにあたって公正な労働市場を整備することが必須である。労働市場の透明性を高め、労働者が容易に自分に合った仕事がみつけられ、賃金にも納得感を得られることが要請される。今の日本の労働市場では企業によ…