スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

変な英語はOKでも変な日本語はダメ

以前、ある外国人の就職を世話する機会があった。ヨーロッパ人の女性で英語はビジネスで使えるレベルで日本語は日本語能力試験2級である。日本語能力試験2級は、「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使かわれる日本語をある程度理…

経営者に向けたジョブ型雇用の提言

政策シンクタンクPHP総研「経営者が日本の働き方を変える」PHP研究所(2018年)の提言レポートは、めずらしく労働者目線の訓示的な内容だけではなく、むしろ経営者を叱咤激励するようなレポートで興味深い。 メンバーシップ型雇用は終わりジョブ型雇用に移行…

「新しい生活様式」から普通へ回帰する

人口4,000名のフランスの村に住む家族が新型コロナウイルスに感染した。その後、重症化することもなく自然に治癒した。はるかに人口密度が高い首都圏の人々が感染していないといえるのだろうか。多くの人にとっては「無症状の風邪」といえる新型コロナウイル…

ヨーロッパ中心主義からくる偏向

高校時代の世界史の教科書を本棚にみつけた。村川堅太郎ほか『詳説世界史(改訂版)』(山川出版社、1985年)である。13世紀当時、地球は丸いということを信じる人は少なかったようであるが、ジェノヴァの船乗りコロンブスは、アフリカまわりよりも西方へ直…

価値判断を留保する余裕を持つ

自分の知らない世界や自分の価値観と異なる考えに直面したとき、自らの価値判断を留保することで将来の可能性を広げることができる。たとえば、卑近な例をあげると、ウイルスに対するマスクの効果について価値判断をせず、自分の頭の中に価値判断を留保する…

アウトプットを前提にインプット

効果的なインプットを実行したい場合は、アウトプットが前提のほうがよいと思われる。たとえば、本を書く、論文を書く、ブログを書くという前提でインプットすると、漫然と本を読み漁るよりも効率的である。 筆者の場合、論文を書く前提で書籍を読むと、引用…

プレプリントの論文は価値がないのか

プレプリント(preprint)の論文とは査読前論文で、厳格な審査を経ていない論文がインターネット上に掲載されるものである。とくに自然科学の分野などは、時間との勝負がある場合や、実験結果の検証が不十分な段階でもある程度結果に確信が持てる場合は、プ…

英語圏以外の世界観を獲得しにいく

長男がアメリカの高校に交換留学したいということで、いくつか高校留学をアレンジしている団体の資料を調べた。世界をみる、世界を知るといっても、多くはアメリカが留学の派遣先だった。戦後、アメリカが日本を親米国にしようと、多くの日本人留学生を受け…

転職の効用は海外旅行と同じ

違う世界をみるという意味では、転職と海外旅行は似ている。大きな違いは、転職の場合、旅立った地点に戻ることはめずらしいということである。ただ筆者の場合は、そのめずらしいケースの一つである。一度退職した会社に戻るという経験をした。自分だけかと…

非情な財界人を生んだ「総合職」

引き続き、リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に濱口桂一郎氏のジョブ型人材の解説があるので少し触れる。 これから主流になるかもしれないジョブ型正社員と従来の正社員の違いは何か。ジ…

日本の経営者こそ「ジョブ型人材」に

リクルートワークス研究所の機関誌Works 122号(2014年)の第1特集「日本型報酬・人事システムの着地点」に示唆に富んだ内容があった。日本の労働者の時間当たりの賃金は、1989年と2008年を比較すると大卒、高卒ともに低下している。しかも、大卒でも高卒で…

ジョブ型雇用の視点で在宅勤務を再考する

ここにきて在宅勤務の問題点が指摘されているようである。コミュニケーションが不足するため、イノベーションが起きないという。あるいは、横にいる同僚に相談ができないので、ちょっとした業務に関する相談ができないというのもある。また、上司が部下の勤…

透明性の高い労働市場で起こる変化

透明性が確保された労働市場では多くの人の働き方が変わる。まず、労働者を評価するのは上司だけではなく労働市場になるので、ゴマをすることの効果は半減する。それどころか長期的にみれば、多くの人は上司の評価より、市場の評価を信じるようになるので、…

ジョブ型雇用における公正な労働市場

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行するにあたって公正な労働市場を整備することが必須である。労働市場の透明性を高め、労働者が容易に自分に合った仕事がみつけられ、賃金にも納得感を得られることが要請される。今の日本の労働市場では企業によ…

経済界に「フランス革命」は必要か

デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(東洋経済新報社、2019年)によると、日本は賃金を上げる必要があるという。そして、日本は生産性が低いので中小企業を統合して、大企業と中堅企業へと再編すべきということのようだ。アナリストとして自身が入手…

価値ある日本のパスポートを使う

今から20年以上前の話であるが、ルーマニアに旅行中、首都ブカレストで2回ほどニセ警官につかまった。彼らはおよそ3人1組になっている。オデオン劇場の前を歩いていると、まず一人の男が私に近づいてくる。ちょうど周りには人がいなかった。 「すみません、…

能力があっても報われない世界

1999年当時、私がルーマニアという国をみてみようと思ったきっかけは、日本に出稼ぎにきているルーマニア人女性が、本当に能力がありながら仕事がみつからず、アジアの辺境の国、日本に来ていることに驚きを感じたからである。ブカレスト大学法学部に入学し…

「ジョブ・カード」で自分にレッテルを貼る

ジョブ・カード制度は、2008年に制度導入されたもので、職務経験や学習歴、職業訓練歴、学歴、免許、資格などを記入していく履歴書のようなものである。履歴書と何が違うのかというと書式が決まっていて、その書式にそって自分のことを記入していくことにな…

「ジョブ型人材」の戦わない戦略

メンバーシップ型からジョブ型に社会が移行するとしても、怖がる必要はない。人に仕事が与えられていた社会が、仕事に人が当てられる社会に変わるだけのことだからである。今までは活躍するかしないかわからない新卒学生を採用し、無理やり仕事を与えて育て…

「メンバーシップ型雇用」の行き詰まり

最近、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に日本社会が移行してきているようであるが、しっかり目の前の仕事をして自分を磨いている限り、変化を恐れる必要はない。このメンバーシップ型とジョブ型の違いをうまく表現する日本語に、「就社型」と「就職型…