職人的生き方の時代

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クライメートゲート事件から考える科学者像

気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、以下「IPCC」)は国連機関の一つで、その報告書は世界中の2,000名を超える専門家が協力して数年かけて厳密な検証を経て作成されます。だから誤りなどあるわけがないと誰もが思うことでしょう。いや誤りなどあってはならないと。

しかしながら、IPCCが「人間活動による気候変動がもたらす危険性を評価する」という目的で設立されて以来、それに科学的根拠を与えることを使命とされた専門家によって、次第に「科学」よりは「大義」に重きをおくようになったそうです。そのように分析するのは、深井有氏で、『地球はもう温暖化していない』(平凡社新書、2015年)にも解説されています。

IPCCの報告書については、二酸化炭素による温暖化の主張に合うように観測データを改ざんしているのではないかとか、IPCCの主張に合わない論文の発表を妨害したのではないか等々、年を追うごとに多くの疑惑をもたれてきました。そして、2009年11月19日、それらの陰湿な隠ぺい工作のすべてが白日の下にさらされます。それは、IPCCの「科学」のまとめ役であった、イギリスのイーストアングリア大学気候研究所のコンピューターから1,000通以上のメール記録が流出して、世界中に広がりました。のちに「クライメートゲート事件」と呼ばれるようになる出来事です。

このメール記録を流出させた人は、IPCCの専門家のやり方に我慢ができなかったのか、3回にわたってメール記録を曝露しています。いわゆる、ClaimateGate 1.0、ClaimateGate 2.0、そして、ClaimateGate 3.0です。その内容は、オーストラリアの研究者によってまとめられています。詳しく知りたい方は、John Costella, The Claimtegate Emails, The Lavoisier Group (2010)を参照してください。メールの原文も確認できるようにリンクが貼られていますので、詳しく読みたい方は以下のリンクにあるブックレットを確認してみるとよいでしょう。

The Climategate Emails (lavoisier.com.au)

いくつかのメールのやり取りを読むと、事実を捻じ曲げたり、データを隠したり、都合のいいように見せ方を工夫したり、科学者というのはこんなことをするんだ、というのがわかります。これが真実だとするなら、科学者は簡単にお金のためか、名誉のためか、何が目的かわかりませんが、透明性がある公正な議論を常に心がけることはないのかと思ってしまいます。この人たちは政治家やビジネスマンではなくて科学者です。もちろん、これらのメールが真実であるならという前提ですが。

しかしそれこそ、これらの膨大なメールを創作することに何のメリットもないでしょうから、科学者本人たちがやり取りした内容なのでしょう。たとえば、以下のような表現がみられますが、みなさんにとって科学者に対する考えが変わりますでしょうか? 英文が長く余計な内容も含まれるので、前後の文脈は省きますが、原文を確認したい方は、前述のリンクを参照してください。

1999年11月16日
"to hide the decline."
これは気温が低下しているデータを隠すということを示唆しています。

2004年8月6日
"We did this to stop getting hassled by the skeptics for the datasets. "
データの見せ方について、温暖化懐疑論者にデータについて煩わされないように、うまくやった、ということを示唆しています。

2005年2月2日
"I think I’ll delete the file rather than send it to anyone."
誰に見られているかわからないし、情報公開法によって情報開示されないようにファイルを削除するように示唆しています。

このクライメートゲート事件は、その後、各種機関の調査を経て、報告書の作成に不正はなかったという結論になっています。しかし「火のないところに煙は立たぬ」ではありませんが、これらのメールのやり取りから不正が推察できるのは事実だと思います。本来であれば、報告書の作成メンバーは、日ごろか注意深く発言し、メールにも気を遣うはずですが、公にならない前提で本音が出たのではないでしょうか。パンデミックのときもそうでしたが、ノーベル賞受賞者の発言でも、本当に科学者なのかと思える稚拙なコメントもみられました。おそらく、私たちが本物の科学者を見分ける眼力を必要としているのだと思います。