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ワクチン懐疑派の論文は意外に多い(3)

Neil Z. Miller, Miller's Review, Miller’s Review of Critical Vaccine Studies (2016)に掲載されている論文要約の紹介を継続いたします。

私たちは権威のある研究者の論文は正しいと信じ込むことがあります。あの人がこう書いているのだから間違いないだろうと。しかし、どんなに著名な研究者の見解であっても、やはり自分自身で検証しない限り、誤りを犯すと思います。特に医学や薬学の世界では、莫大な資金が動くようですので、一人の権威を妄信することは危険なようです。次の論文は、研究不正に関する調査で、他の人文・社会科学分野より、はるかに不正が発生しやすい環境が存在していることがわかります。

Fanelli D, How many scientists fabricate and falsify research? A systematic review and meta-analysis of survey data, PloS One 4(5) e5738 (2009)

この論文は、科学者がデータの捏造や改ざんなど、科学的知識を歪める研究不正を行ったことがあるか、または同僚が行ったことを知っているかを尋ねた21の調査結果を分析したものです。科学者の最大5%が、結果を改善するために少なくとも一度はデータの改ざん、捏造、変更を行ったと認めています。そして、最大34%が、その他の疑わしい研究行為に関与していたことを認めました。疑わしい研究の例としては、資金提供元からの圧力により、データを削除したり、研究計画、方法論、結果を変更したりすることが挙げられます。臨床・薬学・医学研究では、実質的バイアスを助長する大きな金銭的利害関係のため、他の分野よりも科学的不正行為が拡大する可能性があります。ある調査では、生物医学分野の研究研修生の81%が、助成金を獲得したり論文を発表したりするために、データを選択、省略、捏造することをいとわないとも回答しています。

これでは、デタラメではないかということですが、研究不正は今も後を絶たないし、実際に日本でも起こっています。当該分野の専門家ではない人にしてみれば、まさかそんなことが、と思うかもしれませんが、専門家が常に社会に対して誠実であるとは限らないということです。不正をした本人にとっては抜き差しならない状況に陥ることもあるのでしょう。

次に、ワクチンの効果を助けるために使われるアルミニウムについての論文をみてみましょう。ちなみに、ワクチンの効果をより発揮させるものをアジュバント(adjuvant)といい、ラテン語が起源で「助ける」という意味を持ちます。

Tomljenovic L, Shaw CA, Mechanisms of aluminum adjuvant toxicity and autoimmunity in pediatric populations, Lupus 21(2) 223-230 (2012)

この論文は、ワクチンによるアルミニウム・アジュバントの毒性が、発育途上の子どもの神経系と免疫系に及ぼす影響について分析したものです。アルミニウムは神経毒ですが、就学前の子どもたちは、脳の発達の重要な時期に、複数のワクチンから多量のアルミニウム・アジュバントを繰り返し注射されます。このため、神経発達障害や自己免疫疾患を引き起こす可能性があります。生後の発達期には、子どもの脳は毒素に対して透過性が高く、腎臓は毒素を排除する能力が低くなっています。したがって、子どもはワクチンのアルミニウム・アジュバントによる副作用のリスクが大人より高いのです。

Gheradi RK, Authier F, Macrophagic myofasciitis: characterization and pathophysiology, Lups 21(2) 184-189 (2012)

この論文は、アルミニウムを含むワクチンを接種した後に一部の人に発生する身体障害性の健康状態であるマクロファージ性筋膜炎(MMF)に関するエビデンスをまとめたものです。ワクチン中のアルミニウムは、注射部位に集まるか血液中を循環し、他の細胞やリンパ節に移動し、最終的には脾臓や脳などの遠隔臓器に蓄積される可能性があります。MMFの症状には、慢性疲労、慢性的なびまん性筋痛(筋力低下)、関節痛、記憶や注意に影響を及ぼす認知機能障害、睡眠障害、障害をもたらす頭痛が含まれます。

アルミニウムが添加されたワクチンを私自身も私の子どもたちも接種しております。特に長男が慢性疲労症候群に悩まされた時期があったことを考えると、アルミニウム添加のワクチンと症状の因果関係を完全否定することはできないと思いました。

ここまで3回シリーズで論文をご紹介しましたが、どの論文もネットで入手できることに驚きました。なぜなら、法学分野であれば、いまだに紙媒体でしか入手できない論文もあり、国立国会図書館まで行って複写をしてもらう必要があるからです。その点、医学や薬学分野は意外とオープンであるということ。資金提供問題などで不正が起こりやすいのかもしれませんが、一方でそれを検証しやすいということもあるようです。よってこの分野に専門性のある方には、幅広く論文を検証していただき、発信していただくことが社会の発展や人々の健康に貢献することと思いました。

別の機会に、インフルエンザやHPVなど他のテーマの論文もご紹介できればと思います。