スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

『ガイアの法則Ⅱ』を読み洗脳について思う

千賀一生『ガイアの法則Ⅱ』(ヒカルランド、2020年)は、多くの人にとって必読の書かもしれない。とくに第8章。もし、今起きている社会現象の背景を理解できた、あるいは深い闇の世界を知った、世の中で起きていることの真実にたどり着いたと思ったときこそ、精読したほうがよい。

千賀氏は示唆する。今の情報操作は、容易に真実でないものを真実と勘違いさせることができる。私たちは多くの真実らしき情報に接したときに、このことを多くの人に知らせなければならないと思う。布教しなければならない、あるいは多くの人を救わなければならないと思い、今度は情報発信者になる。そこに悪意はなく善意のみである。そして、今度は自分も洗脳活動に入り込んでいく。

おそらく、大手のプラットフォーム事業者は、都合の悪い動画を徹底的に削除する。それは「消極的洗脳」といえるかもしれない。そして「積極的洗脳」として使えるものは動画として削除されずに、そのままプラットフォーム上に残り多くの人が目にする。「消極的洗脳」に対しては、アクセス権と称して声をあげやすい。しかし「積極的洗脳」には、表現の自由があるので、受け入れるしかない。ここは受け手が自分で考えるしかないところである。

私のような素人が、動画にのめり込めば一発で洗脳されるのだと思う。だから、信頼できると思う情報源でも、定期的に、あるいは強制的に変えるのがよい。あるいは、複数の情報源を多面的に視聴しておく。そして、自分の外に救世主やヒーローを求めるのではなく、自分をもっと信じなければならない。

また、動画ではなく文献にあたることも大切だと思う。たとえば、この時期に私が千賀氏の書籍を手にとったのも非常に幸運だった。書籍は動画以上に執筆や校正の期間が長く必要なので、執筆者も慎重になるし、多くの参考文献にあたる。当然、多角的に記述していくことにもなるし、次の世代まで紙として残ると思うと規律も働く。ただ、動画に比べるとパワーがない。破壊力がないともいえるかもしれない。だから安全ともいいうる。

千賀氏が、私たちが洗脳されないために不可欠なものとしてあげるものに直観力をあげる。そして、情報操作をしている情報源も個別名でご存じなのだと思う。しかし、あえて述べない。それは読者に自分で考え、直観力を鍛えてもらうためなのだろう。もしここで答えを教えてしまうと、結局、その直観力が鍛えられない。子に対する親の愛情のように、課題の答えは子ども自身でみつけるまでこらえて待つかのように。

以上は、ご本人に聞いたわけではないので、推測の域を出ないが、私自身も洗脳のための情報発信者とならないように、細心の注意を払わなければならない。プラットフォーム上に残っている情報には、情報操作のための意図があるかもしれない。そして、大手のプラットフォームは危険ということで、マイナーなプラットフォームに逃げても、同じように洗脳が組込まれていないとは言い切れない。四方八方から洗脳のための情報が攻めてくる。結局、最後の拠り所になるものが自分の直感なのかもしれない。千賀氏の意図を正しく解釈しているのか不安であるが、今の私の解釈は以上である。