職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

大いなる何かに導かれる

田坂広志『すべては導かれている』(小学館、2017年)という本に接しました。田坂氏のお名前のみ存じ上げていましたが、どのような方なのかの詳細は知りませんでした。そして、多摩大学大学院でビジネスを教えている人という程度の情報しか持ち合わせていませんでした。

しかし、書籍を拝読してわかったことは、田坂氏が原子力工学という先端科学を研究していながら、多くの修羅場の経験を通して、現代科学では証明できないような、不思議な現象に遭遇し、偉大な何かを信じて受け入れるようになられたということです。

若い頃に大病をされて人生が終わったと思ったこともあったようですが、いろいろな思索を通じて、自分が大いなる何かに導かれていることに気づき、その後、想像を超える不思議な現象が起こり人生が好転していくのが田坂氏の人生です。

田坂氏は、「すべては導かれている」という覚悟を定めるならば、必ず、あなたの心の奥深くから、その逆境を超えていく力と叡智が湧き上がってくるといいます。そして、あなたの人生において、想像を超えたこと、不思議なことが起こり始めますと。

たしかに人知を超えた意思のようなものがあり、その大いなる何かに導かれているというのはあるかもしれません。あるいは、導いているのは自分自身と言えるかもしれません。

すなわち、「大いなる何か=自分」ということです。人生のシナリオは自分で設定しており、幸運も不運もないということ。ただ現象があるだけで、幸運とか不運というのは自分でレッテルを貼っているだけともいえるのではないでしょうか。

よって、幸運や不運と思えることも、自分のシナリオに従って起きており、不運といわれることも起こらなければ、自分の設定したストーリーのとおり人生は進まないということです。よって、逆境という場面も自分で設定した必要な要素なので、自分で受け入れるということかと思います。

田坂氏は言います。「すべては導かれている」という覚悟を掴んだことによって、病気は自然に遠ざかり、また、逆境を乗り越える直観がひらめくようになり、運気を引き寄せたと。このような田坂氏の経験と思索は、少なくとも私自身にも一部当てはまるところもあり共感した次第です。