職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

豊かさの源泉は私たちのなかにある

自分に欠乏という考えががしみつくと、いつも欠乏を経験するというのは、エックハルト・トール氏の思想です。彼の哲学は私にとっていつも耳が痛いです。私を含めて多くの人は、すでにある自分の人生の豊かさを認めず、欠乏ばかりが目につきます。しかし、すでにある自分の人生の豊かさを認めること、それがすべての豊かさの基本になります。

世界が物惜しみをして与えてくれないと思っていても、実は自分自身が物惜しみして世界に与えていないともいいます。なぜ物惜しみするかというと、自分は小さくて、何も与えるものがないと奥深いところで信じているからだそうです。謙虚でいいようにも思いますが、自分自身を過小評価しすぎているということでしょうか。

そこで彼は提案します。人々が物惜しみをして与えてくれないと思っているもの、たとえば、賛辞、感謝、援助、愛情などを自分から他人に与えるようにと。そんな持ち合わせはないと思っても、あるように振る舞えばよろしいといいます。

そして与え始めるとまもなく、与えられるようになるそうです。与えないものは受け取れない。そのとおりなのでしょう。出力が入力を決める。世界が物惜しみをして与えてくれないと思っているものは、あなたがすでに持っているのに出力しようとしないもの、それどころか持っていることを知らないものだと。

私自身、彼の考えに賛同します。一方で謙虚であることも大切だと思う自分もいます。ただ彼は決して「傲慢になれ」とは言っていない。すべての豊かさの源泉はあなたのなかにある。あなたの一部なのだと言っているだけです。