職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

そごう・西武のニュースからバブル時代を想い出す

そごう・西武労組がストライキを実施することを、セブン&アイ・ホールディングズに伝えたニュースに接しました。大手百貨店のそごうと西武は、いつの間にか同じ資本グループに入っていたんですね。しかも、大手スーパーの傘下ということで、バブル時代を知る人間にとっては不思議な感じがします。

私は、1987年~1991年まで大学生でしたから、バブル絶頂と崩壊の局面にあったわけです。しかし、自分で稼いでいたわけではないので、バブルの実感がありませんでした。シーマとかいうむやみにデカい車が売れた時代です。当時は、渋谷、新宿、池袋の中でも、池袋に行く機会が多く、西武百貨店東武百貨店もよく行きました。セゾン文化なる言葉もあり、東武よりもセゾングループが、何となく格好いい雰囲気を醸し出していたと思います。それが外資に売却されるというのは、たしかに寂しい感じがします。

このセゾングループの代表だったのが堤清二氏ですが、作家でもあり、中央大学から博士(経済学)の学位も授与された理論家でもありました。何となく感性で経営をされていたような印象もあり、意外でもありますが、西武百貨店を二流、三流から一流に育てた実績はすばらしいと思います。

一方、そごう百貨店も法学博士の水島廣雄氏によって、二流、三流から一流百貨店に変革されており、西武とそごうには共通点が見出せます。水島氏は、企業担保法の権威で、自分の研究成果をまさに実務における資金調達で活用し、積極的な出店戦略をとっていたことになります。

私が東洋大学法学部に在籍していた頃には、すでに70歳定年で教授職は辞めていましたが、その後も大学に影響力は残っていたと思います。大学院に進学するか迷っていたとき、ある先生に「そごうだったらいつでも入れるから言いなさい」といわれたことがあります。一教授が教え子にそんなこをといって、面接試験で不合格になったら大変なわけですから、確信がなければそのような発言はなかったと思います。

当時は、自分の故郷にも札幌そごうが駅前にあったし、東証一部上場企業だったわけなので、それもあり得る選択と思った記憶があります。その道を選んでいれば、今回のストライキに参加していたでしょうか。その前に早期退職制度でリストラだったでしょうね。

いずれにしても、バブル時代に存在していた華やかな企業は、このようにして、どんどん外国資本に売却されていきます。最近、ビッグモーター事件で話題の損保ジャパンだって、安田火災日産火災、大成火災、日本火災興亜火災が合併してできた会社で、巨大グループを形成しているわけですが、株主のかなりの割合が外国資本になっていることでしょう。開示情報では信託口となっているので個別の機関投資家の名前までわかりませんが。

昔、「自民党をぶっ壊す」といって構造改革をした首相がいましたが、日本までぶっ壊したのかもしれませんね。でもこれは一連の浄化作用のプロセスなのだと思います。かなり混乱しているようにみえますが、少しずつデトックスして、体が軽くなるように、新しい日本ができつつある途上なのだと。人によっては、かなりつらい好転反応ということかもしれませんが。