スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

一人ひとりは誠実に行動している

第4回医薬品行政評価・監視委員会における、佐藤嗣道准教授よるリンクの事前質問を読んだ。

000798077.pdf (mhlw.go.jp)

2021年6月13日までに報告されている277件のワクチン接種後の死亡例を接種人数の1,714万人で割った頻度は、16.2件/100万人であり、1億人が接種すれば1,620人が死亡することになる。この死亡リスクは、ベネフィットに照らして許容できるのかと問いただしている。また、死亡リスクが低い小児や若年者では、相当な低リスクでなければ許容し得ないはずであるが、どの程度であれば許容できるかなど確認している。

これに関する質疑のリンクの動画を視聴したが、厚生労働省の職員の回答は、論理的ではなく、文字に起こすとほとんど佐藤氏の質問の答えになっていないことがわかる。そもそも日本語として意味が通らない、あるいは非常にわかりにくい答弁になっている。それに対して、佐藤氏も「それでは答えになっていません。端的にお答えください!」と詰め寄る。

第4回医薬品等行政評価・監視委員会より佐藤嗣道委員の質問① - YouTube

この委員会のやり取りを聴いて思ったことは、厚生労働省の職員も答えを持っていないのではないかということ。ワクチン政策に関して効果の検証方法、リスクとベネフィットを比較しての判断基準、被害が拡大した場合の撤退基準などが議論されていない、あるいは検討されていないのではないだろうか。そうでなければ、このような回答が出てくるとは思えない。しかも佐藤氏が提出した資料は事前質問なので、質疑応答の前に読んでいるはずである。それでもこの回答なわけで、本質的な議論や論点整理がなされていないように思われた。

おそらく、厚生労働省の職員一人ひとりも、自分の持ち場のことについては真剣に取り組み、精一杯仕事をしているはず。よって、動画のような乱れた回答をしている状況をみても非難する気にはなれない。あるいは、製薬会社の研究者一人ひとりも、自分の知見や専門性を使って真剣に仕事をしているはずであり、何とか感染症を克服しようとしているのであろう。よって、一人ひとりの研究者を非難する気にもなれない。結局、一人ひとりは誠実に課題に対して取り組み全力で業務遂行しているのだと思う。

問題は、その小さな努力が全て積みあがった結果に、どこか不可解な点があるということ、不透明な点が残っているのではないかということ、どこか合理性に欠けているのではないかということである。それにもかかわらず、全くブレーキがかからない、あるいは方針の変更や修正すらなされない状況がとても不思議である。

リンクの副反応データベースは、厚生労働省のウェブサイトから副反応のデータを取り込んで、個人が作成したもの。フィルターをかけるといろいろな切り口でデータを整理できるが、現時点で10代で重い副反応が22件出ている。

コロナワクチン 副反応データベース検索(ファイザー) (covid-vaccine.jp)

一人ひとりの症状をみると痛々しい限りであるが、このような結果が出ていれば、すぐにでも対策を講じるものではないだろうか。おそらく、一人ひとりがそう思っても、組織の中で動かしようがない力が働いているのだろうと推察する。そもそも、一個人がこのようなデータベースを作成しなければならない状況も変である。政府が作成して、国民に開示すべきことのように思われる。

9月3日の読売新聞朝刊に問題提起の意見広告が掲載された。読売新聞という巨大な組織の中で、どのようなやり取りがあったのか想像できないが、とにかくいろいろな方向のベクトルがぶつかり合った結果、このような広告掲載に至っているわけで、少なからず人々の考えに影響を与えていることであろう。

f:id:syamakoshi:20210908074055p:plain