職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

若い方々にお願いがあります

自治体の首長が「特に、何度も申し上げますけれども、若い方々へのお願いであります」という。なぜ若者をターゲットにしているのか不思議に思えた。若者が高齢者に感染させるということかもしれないが、因果関係は複数の要因があるはずなので、若者の行動だけがコロナ死者数の増加に直接影響しているわけではない。よって、若者の行動に紐付ける必要はないと思った。

他の首長も同じような調子で若者を威嚇する。この人たちは頭がどうかしてしまったのではないか、と思った。しかしそうではない。彼らの彼女らは賢いのである。計算尽くである。すなわち、上客が誰であるかを考えると答えがみえてくる。若者は見込み客ではない。選挙に行くのは高齢者である。高齢者の支持を得るには、若者を威嚇しておけばいいという計算なのではないだろうか。若者の行動が原因で収束しない。それに対して一刀両断できる政治家は称賛される。このようなストーリーや戦略が背後にあってもおかしくない。

シルバー民主主義においては、マーケティングの対象を正確にとらえる必要がある。有権者で投票に行くのは誰か、できるだけ多くの票を獲得するにはどの層をターゲットとして情報発信するのかが鍵になる。顧客になる見込みのない層に膨大な予算をつぎ込んでマーケティングしても効果は薄い。ターゲティングを明確にして徹底的にその層から支持を得られる情報発信と提言を継続することが効率がよい重要戦略になる。

そこで、若い方々にお願いがある。次回以降の選挙には必ず投票に行ってほしい。そして、自分たちの未来を奪う候補者には投票しないということである。自分の一票が世の中を変えることはないし、大勢に影響はないというのは真実であろう。それでも、あなたの一票がなければはじまらない。

ジャスミン革命」をご存じであろう。2010年、チュニジアの若者が失業し、路上で野菜を販売していたところ、免許がないということで当局に商品を没収された。そして、絶望の中で彼は抗議の意思表明をしてガソリンをかぶり焼身自殺をした。その事件の概要がSNSなどで拡散され、チュニジア全土で反政府デモが広がり、当時の大統領は国外で逃亡することになった。しかもその後、他のアラブ世界にも反政府デモが波及し各国の政権が崩壊していくことになり、その事象は「アラブの春」といわれた。もちろん若者へのお願いは、自殺することではなく、単に投票に行くことだけである。それで十分。

シルバー民主主義が蔓延してしまった日本でも、若者が声をあげなければいけないところまで追い詰められている。少子高齢化で若者は少数派かもしれないが、未来があるのは高齢者ではなく若者である。若者をターゲットにした威嚇に屈している場合ではない。次回以降の選挙では必ず投票に行くことを今決意してほしい。