職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

本の出版作業と子育てが似ている

博士号を授与された経緯をもとに、参考になるような情報をできるだけ客観的に整理した一般書を執筆しました(リンク参照) 

学び直しで「リモート博士」 : 働きながら社会人大学院へ | 山越誠司 |本 | 通販 | Amazon

博士論文を書籍化した専門書とほぼ同じタイミングの販売になり、単著としては4冊目と5冊目になります。どちらも、執筆している時は、かなりの情熱をもって取り組みました。ところが、企画から編集、校正等をしているうちに情熱は冷めます。

一般的に脱稿から発売日まで最低でも6か月は経過します。自分がやらなければならない作業が完了し、あとは印刷所で製本作業に入ると、また1ヵ月くらい経過し、それから発売になりますから、その過程で特に情熱は冷めていることが多いです。

そして、本が発売される頃には、多くの人に読んでもらいたいという強い気持ちはそれほど持続していません。本を出版するほとんどの人は、初版で印税がもらえる出版契約になっていないでしょうから、本が売れても売れなくても金銭的なメリットもデメリットもありません。むしろ、出版費用を自分で負担している場合は、最初から経済的デメリットがあるわけです(これを商売にしている業者があるので注意)。

よって、情熱は静かに減退し、その後に残るのは作品のみです。そして、考えてみると子育てに似ていると思います。精魂込めて子どもを育て、全精力を注いだという実感はあるものの、高校卒業あたりから自分の役割はほぼ終わり、あとは逞しく生きていくんだよ、くらいしかいえないし、思えない。その子が社会で活躍するか、人々の役に立つかは、その子次第です。

本の出版にしても、発売後にその本が読者の役に立つのか、少しでも人々を勇気づけるものなのかは、その本の内容次第であったり、読者次第のようなところがあります。自分が強烈に販促しようが、売れないものは売れないし、売れるものは売れる。どちらでも変わらない。だからといって、執筆中に手抜きはできない点も、子育てに似ているように思いました。