職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

社外取締役は割りがいいバイトか?

ではありません。言い方によっては、ギャンブル性のある賭けと言えるぐらいリスクの高いお仕事です。責任限定契約があるので、責任追及されたとしても、役員報酬の2年分までしか損害を負わないと理解していると誤ります。

「500万円の報酬だから、どうせ1000万円まで責任をとればいいでしょう」ということにはなりません。この責任限定契約は、あくまでも「対会社責任」についてのみ対象となり、「対第三者責任」には適用されません。

「対会社責任」とは、会社訴訟や株主代表訴訟です。会社や株主が社外取締役を訴えた場合の責任のことを「対会社責任」といいます。株主代表訴訟の「代表」は、会社を代表して株主が訴えているので、株主代表訴訟も「対会社責任」となります。

一方で、注意しなければならないのが、「対第三者責任」です。典型的なものには「証券訴訟」があります。日本では聞きなれないかもしれませんが、有価証券報告書などの虚偽記載で、金融商品取引法違反を問われた場合の責任が「対第三者責任」になります。

日本における事例では、ライブドア事件、ニイウスコー事件、アーバンコーポレーション事件などがあります。株主や投資家が、虚偽記載によって社外取締役を含めた役員を訴える責任追及のことを「対会社責任」といいます。ニデックの虚偽記載もこれから訴訟になりそうですね。

これらの責任追及に対しては、責任限定契約は適用されないので、社外取締役が責任追及訴訟で全資産を失うリスクがあるわけです。

社外取締役のリスクが高い理由は次の点です。
・社外も含めて取締役は相互監視義務がある(執行役にはない)
・金商法上「相当の注意」をしていれば責任を免れるが、裁判所の判断にもゆれがある
・業務執行していないので不正があっても気づきにくい

社外取締役を含め取締役は相互に監視・監督義務があるので、お互い疑った目で見る必要があり、その点、楽しい仕事とはいえません。

決算等に不信な点があれば必ず質問をし、取締役会の議事録にも残してもらう必要があるので、自分を守るための行動が必要です。これも楽しい仕事とはいえません。

このように書いてくると、やる気もなくなるかもしれませんが、上場会社という「公共の器」通して、社会に価値を提供していくという崇高な使命があると考えれば、やりがいのある仕事でもあります。そのような夢がある人であれば、社外取締役というお仕事は楽しいのではないでしょうか。