いつも感じていたことなのですが、オリックスに比べてリクルートのほうが人材を育てることに関して優位性があるのではないかと思っていました。すなわち、リクルートの人材のほうがオリックスの人材より優秀なのかと。その証拠にリクルートの人材のほうが起業して活躍している人が多いではないかと。
ところが、海老原嗣生『人事の組み立て』(日経BP、2021年)を拝読して、それが誤りであることを理解しました。オリックスは法人金融の会社でリクルートは人材紹介の会社です。実際には両者の事業は多角化しており、一括りにまとめて事業を定義するのは無理ですが。
海老原氏によると、法人金融の業界知識やノウハウは、長い年月をかけて蓄積する必要があるが、人材紹介においては2年もあれば熟知でき、MVPを取ることも可能だといいます。
業界知識やノウハウの習得に長い年月を必要とする業界としては、そのほか、メガバンク、総合商社、大手メーカーなどがあり、短期間で業界知識やノウハウが習得できる業界に人材ビジネス、不動産営業、外資系生保、EC系セールスなどがあるそうです。
そもそも、業種によって仕事の中身が異なり、習熟するスピードやその期間が異なるので、比較しようがないのだと思います。たしかに、法人金融で入社後2年で頭角を現す人は少ないと思います。何度も失敗を繰り返し、成功体験も積み重ねて、何年もかけて熟練の技を磨いていくような世界かもしれません。
また、起業についても法人金融のようにB to Bのビジネスでは、かなり困難だと思われます。たとえば、「山越商店」から金融商品を買う企業はないでしょう。一方、B to Cであれば顧客が個人なので起業のハードルは低いことになります。よって、起業して成功している人が少ないから、優秀な人材を輩出できていないという見方は当たっていことになります。
それでは、法人金融や総合商社、メガバンクの人は起業できないのでしょうか。おそらく、自分の仕事の延長線上で考えるとかなりハードルは高いと思われます。やるとしたら、徐々にB to Cのビジネスのノウハウを蓄積し、自分の仕事をシフトしていく必要があるのでしょう。そうするとかなり助走期間も長くなるので、実際に起業する人は多くはないという結論になるのだと思います。
人事に関する書籍で良書にめぐり合うのは難しいですが、久々によい本に出会いヒントをいただきました。