前回、財務省から出された私立大学削減案について書きましたが、今回もその続きです。
日本の大学制度はかなり特殊だと思われます。まず、アメリカでは、大学生のうち私立大学に在籍している割合は、おおむね30%程度です。一方、日本は約70%の学生が私立大学に在籍しています。こんなに私立大学依存度が高い国は珍しいと思われます。
アメリカと言えば、ハーバード大学やスタンフォード大学といった名門私立大学のイメージが強いですが、実は州立大学がしっかり高等教育を提供しているわけです。
一方、日本は予算の都合上、国立大学を増やすことができなかった。その代わり、私立大学に不足分を補ってもらうことになります。
歴史的にみると、明治政府は国立大学に予算を割くほどの財力がなかったということでしょう。教育効果というのは時間差で現れてきます。それよりも官僚機構、産業育成、インフラ整備、軍備などが優先されたということです。
近年においては、1991年の大学設置基準の大綱化によって、私立大学の新設がしやすくなり、その後、小泉政権の時には大学にも競争原理が導入され、国立大学の法人化と合わせて、私立大学と一緒に競争をさせられたわけです。
結局、日本はアメリカがあらゆる分野で市場原理を導入しているので、その手法を高等教育にも導入すれば高度化・効率化ができると思ったのかもしれません。また、アメリカが一部の私立大学に依存しているので、日本も同じく、と思ったのかもしれません。
そうであれば、その考え方は間違いだったわけです。州立大学がしっかり高等教育を提供しており、約70%の学生がそこで学んでいるのですから。
面白いことに、日本以外で私立大学に依存している国は、戦時中、日本に支配されていた韓国と台湾ぐらいです。両国が日本の政策の影響を受けたことは容易に想像できます。
教育というのは後から効果が期待できる投資なので、機械的に私立大学を削減するよりも、地域や社会に必要とされる私立大学への私学助成金を増やすとか、経営破綻しそうなところを国公立化して投資をするほうが、日本という国を考えた場合、望ましいのかもしれません。
いずれにしろ、高等教育について日本は手抜きをした結果、私立大学が増えたという点はまず押さえておく必要があると思います。