来年出版予定の共著『なぜ社会人大学院で学ぶのかⅡ』の原稿を書きながら思った結論があります。学問の限界を知るためにある分野を研究してみるということです。
理論の限界にいったんぶつかってみるという経験をすると、安易に人の意見を否定したり、自分が構築した理論を他人に押し付けたりすることがなくなると思います。
私の場合、法学で保険法が専門といっていいと思います。ずいぶんと特定分野については掘り下げて研究してみました。しかし結論は「わからない」というものです。どれが正しいかなどわからいわけです。
理詰めで論文を書き上げ、誰からも批判されないように推敲を重ねます。そして出来上がった論文に満足し、専門誌に掲載いただく。でもそれだけで、それが正しいか、世の中の役に立っているかなどわかりません。
来年は、日本保険学会における報告者でもあります。とても名誉なことなので、理論的にも高度なものを書きたい思うので、なかなか筆が進みません。でも結論は「わからない」なのですから、気負っても仕方ありません。なので、少し気を抜いてボチボチと書き始めようと思います。
誰かに「社会人大学院に行って研究してみようと思うけどどうお思う?」と聞かれたら、「ぜひ学問の限界を確かめに行かれたらいい」と答えると思います。「徹底的に理詰めで論文を書き上げ、あらゆる議論を積み重ねて、限界を知るということは、その後の人生で役立つと思う」と伝えることでしょう。