文明800年周期説というのがあります。わたしが最初に知ったのは、千賀一生『ガイアの法則』(ヒカルランド、2020年)でした。その後、無名の歴史家・村山節(1911年~2002年)によって周期説が説かれて体系化されていることを知りました。
村山氏の著作は希少本で高価なために入手が困難なので、服部匡也『文明が転換するとき』(幻冬舎ルネサンス新書、2018年)をもとに調べてみました。
まず村山氏が無名なのは、学齢期に結核を患っており、大学などの高等教育機関で正規の教育を受けられなかったためのようです。ただ、早稲田大学で聴講生として文学部や政治経済学部の講義は受講しています。そして、その研究内容は深く、もし仮に大学で研究する機会があれば著名な歴史学者の一人だったのではないかと思います。
村山氏の説によると文明は800年ごとに東と西へ入れ替わっており、西が繁栄しているときは東が停滞し、東が繁栄すると西が停滞するということになります。歴史をさかのぼれるところまで調べた結果、次のようになりました。歴史学者によって表記は異なるでしょうが、わたし自身がわかりやすいように表記しています。
・古代メソポタミア文明(東)
・古代エジプト文明(西)
・シュメール文明(東)
・エジプト・エーゲ海文明(西)
・インダス文明(東)
・ギリシャ・ローマ文明(西)
・唐文明(東)
・ヨーロッパ・アングロサクソン文明(西)
このように東西が入替り、現在は西から東に転換する時期ということです。これからは日本も含めた東の時代が800年間到来するわけです。
そして、東西両文明の性格は、西の文明は男性的・父性的・権力的・論理的で、東の文明は、女性的・母性的・包括的・感性的だといいます。西が左脳的、東が右脳的ともいいうるかもしれませんが、時代は「女性性(femininity)」の時代ということのようです。
たしかに、感性の時代であり、資本主義の限界も見えてきている状況で、文明の転換というのが起きているのかもしれません。800年の初期の段階では、そのことを感じ取るのは難しいのかもしれませんが、注意深く見ていけば文明の転換点であることは察しがつくことでしょう。
時代の流れが変わっているのですから、少なくともその流れに逆らうような行動や発想はエネルギーを消耗してしまいます。よって、理論ではなく感性重視、左脳ではなく右脳重視という方針を持って、日々の物事も進めていきたいと思いました。