職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

女性は無理せず自然の流れに乗る

先日、2日連続でセミナーに参加しました。1日目は、女性活躍推進について。2日目は、妊活についてでした。両方を受講して身につまされる思いがしました。女性への負荷があまりにも大きいということです。

わたしの中の結論は、あまり無理をせずに自然にまかせるほうがよいというものです。そして、政府や経済界がスローガンを掲げて、何か推進しようとするときは、それに乗らないというのも選択肢の一つです。

女性にとっては、「あれか、これか」ではなく、「あれも、これも」になり、クリアできない無理なゲームをさせられているようなものです。そこまでプレッシャーをかけられても、幸せになれるという保証もありません。また、このような「お題目」が掲げられると、それを否定する発言がしにくくなります。

少し古いデータですが、ジェンダー意識に関する調査でもその傾向がみられます。近代産業社会になって成立したとされる、「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」という性別役割分業観も、1977年で50.4%の人が肯定していたものの、25年後の2002年には16.1%に激減しているそうです。そして、重要な点は、日本における「わからない」という割合が15.4%おり、他国に比べて2倍以上多いそうです。

内閣府『世界の青年との比較からみた日本の青年 第7回-世界青年意識調査報告書』(国立印刷局、2004年)によると、世の中の動きを踏まえて本音を表明しにくい現状があるのではないかとのことです。

2000年代前半の状況でそうであるなら、女性活躍推進法のような基本法まで制定されている昨今であれば、ますます否定的な発言はしにくいことでしょう。社会に多様性をと言いながら、国の政策が流れを一つの方向に決めてしまっているかもしれない点は、留意する必要があると思います。

ただし、わたし自身は、「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」という保守的な考えに固執しているわけではありません。母親が愛情を持って子どもと接する時間を増やすと、子どもは感性豊かで、自信を持った堂々とした人間に育つだろうとは思っています。しかし、だからといって女性は家庭を守るべきということにはなりません。

自分には娘がおりますが、彼女に伝えていることは、若いうちに専門性や技術を身につけておくようにということです。出産・子育てで職場を離れても、この仕事にあなたが必要だから戻ってきて欲しいといわれるようにです。世の中がジョブ型雇用に転換すれば、そのような選択に合理性が見出せるでしょう。

よって、管理職に女性が何パーセント以上とか、役員の女性割合を増やしましょうなどというのはどうでもいいわけです。数値目標を設定して、無理をすると不幸な女性を増やすだけではないかと思うわけです。

そして、自然にまかせることが大切な点は、時代が変わった、あるいは変わっているということが一番です。もう従来型の組織は機能しなくなってきています。ピラミッド型組織で、役員がいて、管理職がいて、という時代ではないのに、役員と管理職に数値目標を持って女性を就けるということは、女性を墓場に送り込むようなものです。

それから、もっとも重要な点は、「女性性(femininity)」の時代だということです。女性が活躍する時代ということではなく、男性も女性も持っているであろう「女性性」を活かしていく時代です。そうすると、自然に女性が活躍する時代が来るでしょう。だから無理をしなくてもいいということです。

理論より感性、左脳より右脳、管理より自由、厳しさより優しさ、報酬より楽しさ、このようなことに世の中が転換していきます。とにかく軽くて楽しい時代なわけです。

別の機会にこの点は記述してみたいですが、文明史観によれば、今は西洋的な世界観から東洋的な世界観への転換点です。また、地球の歳差運動の周期説からいっても、分離ではなく、統合性優位の母なる時代だといいます。よって、女性の方は無理せずに時代の流れにまかせてください、ということになります。もちろん、政府の施策に乗るのも人生ですが。