先日、外資系企業の役員をされた経歴のある知人にお会いし、そのお父様が執筆された書籍を恵贈いただきました。得平文雄『外資系で成功する人しない人』(中経出版、1998年)という本で、損保業界では著名な方でした。
本の巻頭には、日本マクドナルドの社長だった藤田田氏の記述もあり興味深いです。そこには、本当に優秀な日本人は外資系に入ってこない。多くが、いわゆる「英語屋」的な存在で、意思伝達の道具である英語力に目を奪われ、専門性が二の次になっているという指摘がありました。
たしかに、そのとおりで、日本では専門性と英語力の両方を持ち合わせている人材をみつけるのは難しい傾向にあります。おおむね専門性の高い人は英語が苦手で、英語力のある人は専門性がないというのは外資系によくみられる光景で納得しました。
一方で、外資系に求められる人材は、がんばらなくてもいいから、結果を出してくれる人、という厳しい現実です。たしかに、深夜まで残業をしてがんばっている姿を見せるよりも、結果を出してくれる人が望まれる世界が外資でしょう。しかし、日本企業でも同じことはいえます。特に今は結果を求められるので、この点は外資と日本企業で違いはなくなってきたことでしょう。
また、経営者は従業員よりもより多くの報酬をもらっているのだから、より多く働き、誰よりも早くオフィスに来て働き、誰よりも遅くまで働くということのようです。しかし、これも昨今の生産性を求める働き方からすると、従業員が早く帰れるように、経営者もとっとと帰宅して、帰りやすい雰囲気づくりも大切な時代になりました。
このようにしてみると、本書が書かれた1990年代と今はかなり違ってきているように思います。特にパンデミックの前と後では明らかに変わりました。ど根性だとか、体育会系のノリの営業力、あるいは体を張って勝負するビジネスマン等は減っているし、そんなことで成果を出せる時代でもなくなりました。
書籍は2000年より前の時代の内容で興味深いし、同意できる部分はあるものの、令和の時代の働き方を考えると、すべて当てはめることができるものではないというものだと思います。時代は変わってきています。これから速度を増して変化していくでしょう。無理なことはせずに時代の波に乗りながら前進していくのがよいと思います。
また、ど根性やガンバリズムがまだ通用すると思っている人はそれでよいと思いますが、自分でそういう時代ではないと思うのであれば、無理に合わせることはないでしょう。自分のペースで自分の気持ちに従いながらキャリアを考え働くことが大切だと思います。