スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

未来のためのパンデミック再検証

パンデミックも終盤戦に入ってきているのだろうか。各国で規制の緩和が始まっているようである。しかし、今回のパンデミックの原因を探求し続ける必要性は大いにあると思われる。そうしないと、また同じことを繰り返すことになるからである。次は気候変動や戦争などの別の要因で人々の行動を強烈に制限してくるのかもしれない。ただし、その背後にある原理は今回の騒動と類似性があるはずなので、パンデミックの始まりから終わりを通じて、誰もが教訓を得ておく必要がある。

国によって濃淡はあるものの、なぜ多くの人々が新型ウイルスをそこまで恐れたのか、そしてなぜ世界中でロックダウンが実施されたのか、なぜ社会的距離が推奨されたのか、なぜマスクが義務化されたのか、なぜワクチン接種が義務化されたのか。いずれの施策も効果が実証されているとはいえない。効果を証明する論文やデータはあるものの、効果を証明しない論文やデータも多い。ということは、まだ誰も結論が出せないということのはずなのに、なぜか多くの人々は正しい結論があると考えたようである。

冷静に評価してみると、テレビに出てくる専門家は、感想を述べる程度であることが多い。あるいは、専門家といわれる人の記述も感想文程度のものが多い。なぜ説得力のない説明に多くの人々はフォローしてしまったのであろうか。心理的要因も大いにあると推察される。ロックダウンにより人々の間で対話や議論ができなくなり、思考停止のままマスメディアの流す情報だけが頭に入ってくる。まるで人々を心理的に追い込む段取りがとられていたかのように。

パンデミックの初期段階から、今回の問題点をPCR検査に求めていた感染症・免疫学が専門の大橋眞博士は、『PCRは、RNAウイルスの検査に使ってはならない』(ヒカルランド、2020年)で次の点を指摘する。

PCRは、遺伝子を試験管内において指数関数的に増幅させる技術であり、今回の騒動の原因は、PCR検査というこれまで医療で使われてきた検査法と異なる遺伝子検査を持ち出してきたことだという。PCR検査は遺伝子を検査して、病原体を同定しようとするものであるが、遺伝子情報の断片だけを調べるだけで病原体を同定するのは無理があるという。実際にはPCR検査で何を観ているのかを原理的に理解できる人は少ないのが実態であると。

また、PCR検査は非常に特異性が高いことで知られ、反応条件をうまく設定すると、最大99%もの特異性が得られるほど遺伝子を見分ける能力がある。しかし、ウイルスは変異するとPCRで検出できなくなるという問題が生じる。PCRの有効期限はウイルス発生から2か月だといい、PCR検査マニュアルができた当時、すでに有効期限に達していたという。

2020年の最初の緊急事態宣言が出た時には有効期限の2倍、夏の第二派のころには3~4倍の期間が過ぎているのに、同じPCRキットを使い続けていたことになる。もはや医学的に意味がない検査を続けて、PCRは何を検出していたのであろう。陽性反応が出るからよいでは済まされないわけで、どれだけ多くの偽陽性者が出て隔離措置などとられたことであろうか。

今回のPCR検査法を開発したのは、ドイツのクリスティアン・ドロステン教授のグループである。その後、WHOはウイルスの名称をCOVID-19とする。そして、WHO事務局長は、PCR検査を行い、陽性者を隔離する施策を推奨したのは周知の事実である。

そして、スチャット・バクティ=カリーナ・ライス『計画された! コロナパンデミック』(成甲書房、2021年)によると、ドロステン教授らの論文は、24時間以内で査読を通過して批判的な検証はされていないという。さらに、PCR検査は大量の無症状感染者を生み出してきたが、無症状感染者の飛沫中にウイルスが存在しているというデータが示されたことはないという。

科学的根拠も証拠もないのに、なぜ我々は無症状者から感染症が移ると考えるようになったのであろうか。そして、無症状の子どもたちが高齢者にウイルスを移すという残酷なストーリーを作り出し、その仮想のストーリーを多くの人が信じて吹聴し、人々が社会的距離を取るようになった。

大橋博士は次のように指摘する。ウイルスが広まったのではなく、PCR検査キットが世界中に広まったと考えると、新型コロナウイルスの陽性者が世界中で発生していることが科学的に説明できると。今回のPCR検査で陽性と判定されている遺伝子は、中国で発生したウイルスではなく、各地域において、何らかの遺伝子が新しく発見されているだけではないだろうか。

この仮説に対して、正面から反論している著作物はあまりみられない。匿名のものやネット上での反対説はあるものの、文責を明らかにして修正が不可能な紙媒体のまともな著作物はないように思われる。私には大橋博士の仮説を検証する能力は備わっていないが、誰が責任を取って主張し、リスクを取って記述しているかの想定はつくと思われる。パンデミックの出口がもし見えてきているというのであれば、なおのこと、今回の不可解な現象を論理的に検証し、各自の中でも整理をつけておくことは必要であると思う。二度と同じ過ちを犯さないためにも。