スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

自分の判断に役立つ情報はコロナ後か前か

コロナの混乱の状況を冷静に判断するにはどうしたらよいのだろうか。先日出版した『一市民の「コロナ終息宣言」』(アメージング出版、2021年)では、いろいろな文献を参照させていただいたが、今振り返ってもコロナ後よりもコロナ前の文献のほうが学びが多かったことに気がついた。

なぜかを考えてみたが、コロナ前であれば、おそらく著者が冷静な記述を心がけているということ、純粋に学問的な探求心より書かれていること、読者をどちらか決まった方向に誘導する意図がないこと等のために、理論的にも実利的にも役立つ内容が書かれているのではないだろうか。

一方、コロナ後の文献は、たとえば、ロックダウン賛成あるいは反対の立場、ワクチン推奨派あるいは否定派の立場、マスク肯定派あるいは否定派の立場、それぞれポジションを定めてから記述を開始しているので、どこか神学論争的な様相を呈してしう。もちろん、自分自身もしかりである。

その結果、自分で見出した答えは、できるだけコロナ前の情報を丁寧に調べてみるということである。新型であろうがウイリスであることに変わりはない。基本がわかれば応用が効く。新型コロナが突拍子もなく特別なものだ、などという確証はない。よって、コロナ前の情報でも十分対処方法は見いだせるのかもしれない。

もちろん、過去の研究や事例は通用せず、激烈な新型コロナは存在するという主張もある。しかし、存在することの証明よりも存在しないことの証明のほうが難度が高いと聞いたことがある。消極的事実の証明といい「証拠がないことは、ないことの証明にならない(absence of evidence is not evdence of absence)」そうなので、不存在の証明は困難を極めざるを得ない。よって、不存在を証明することは圧倒的に劣勢であることは仕方ないということを承知のうえで、コロナ前の文献を丹念に調べることでもよいと思う。割り切りも含めて。そして、自分の拠り所をみつけて日々の意思決定に役立てていけばよいのではないだろうか。