スペシャリストの生き方

自分だけの生態学的ニッチで生きる

会社を大学院として使いこなす

ビジネスにかかわる社会科学系の大学院博士課程で20代の貴重な時間を費やすのは否定的にならざるを得ない。修士課程に関しては考えが定まらないが行ける機会があるのであれば行ってもよいであろう。論文の書き方くらいは学べる。もちろん、行かなくても学べると思う。あるいは、将来思い立ったときに博士課程に進学するための要件を満たせるメリットはある。最近は、社会人大学院もあるが、一度企業に就職した場合、やはり仕事に打ち込むべきと思われるので、昼間働いて夜は大学院で勉強という生活が望ましいのか疑問である。

それよりも、若いうちにビジネスの現場をしっかり経験するほうが、より法学、商学経営学、経済学の意義が実感しやすい。ある意味、会社は最強の大学院であるともいえる。実践を通じて得られる経験や知識は大学院での学びに比べればはるかに実用的である。しかも給料をもらいながら学べる時期ともいえる。なんといっても失敗から大きな学びがあり、実践において痛い目に合わない限り成長がない。

また、最初の3年間はぜひ仕事にのめり込む時期である。最初の3年で勝負が決まるくらいに思い仕事を覚えるとよい。たとえ優秀であろうと優秀でなかろうと、一生懸命に働く人材には先輩や上司からのサポートを得やすい。私の場合、入社2年目くらいで、当時中間管理職であった先輩からほとんどの仕事を引き継いだことがある。その先輩は当時40歳前半であったので、40歳代の社会人がやっている仕事を、20代半ばの若造が引き継いだのである。しかし、その場になると自分の能力の不足分を補うだけの、周りからの助けを得られ、結局、その仕事を5年程度経験することができた。

その先輩が言ったことは、「周りが助けてくれるから大丈夫だ!」ということであった。別に私の能力を買ってくれたわけではなく、誠実に仕事に取り組んでいた私をみて、成長の機会を提供してくれただけだったと思う。自分でも優秀な営業マンだったとも思えないし、特別な能力があったとも思えない。

このように、社会人の最初の3年で真面目に働いていれば、何かしら学びや成長の機会はおとずれる。そのチャンスを呼び寄せるためにも、夜社会人大学院に通って賢くなる以上に、目の前の仕事に集中するほうが効率的である。最初の3年で勝負が決まり、残りは消化試合くらいに思ってもよい。実際、社会人の人生はそんなに単純な話ではないが、最初の3年間についてそのくらいの発想をしておいても間違いはおきないということである