スペシャリストのすすめ

自分だけの生態学的ニッチで生きる

博士論文

医学博士は医療の専門家ではないのか

外科医の大鐘稔彦『私が"足の裏の飯粒"を取らなかった理由』(アートヴィレッジ、2021年)によると、医者の二人に一人は博士号を持っているという。コロナでテレビ解説に出てくる専門家に医学博士は多いが、そんなに意味のあるものではないということだろか…

文系の「論文博士」から「早期終了プログラム」へ

将来、論文博士の制度が廃止されるのかどうか、という議論がある。私見は存続させてよい制度だと思うが、文系に関してはほとんど利用されていないか、各大学で受け付けていないのではないかと思う。自分も経験者としていえるが、どこの大学もほとんど門前払…

社会人の戦略的な文系博士号の取り方

博士号に挑戦するのは何歳からでもいいという。吉岡憲章『定年博士』(きづな出版、2020年)によると、吉岡氏は2012年に修士課程に入学し、2019年に博士号を取得するまで、壮絶な経験を経ていることがわかる。博士号取得時の年齢は77歳で、MBA取得時が73歳で…

文系サラリーマンの博士論文

数年前に「文系学部廃止」などという内容の書籍が出版されていたが、文系の学問も「科学」であり論理的思考を鍛えるのに有用である。また、社会で役に立たないということではなく、大いに役立つ学問である。パンデミックについても自然科学の世界の人間だけ…

いまだに迷う博士論文の日本語表記

博士論文の執筆も佳境に入り、校正作業も進んでいる。内容はこれ以上深く掘り下げることも、射程を広げることも、自分の実力では難しいかもしれない。おおむね論じ尽くしたといってよいと思う。もちろん、実務家として。もし研究者であれば、まだまだやるべ…

論文執筆による日本語力の向上という恩恵

博士論文を含め論文の執筆は、社会人にとって日本語の文章作成能力の向上に大きく貢献する。一度、論文を書き上げた人にとっては、他の一般的なビジネス文書や一般書の執筆などかなり楽になることは間違いない。学術論文と異なり一般の文章では盗作を指摘さ…

理想的な「論文博士」の制度設計

論文博士の制度をもう少し体系的に再構築していくことが、これからの大学院には重要だと思われる。お金がなくてもある一定の努力さえすれば博士号を取得できることにしないと、わが国における教育機会の不平等はどんどん拡大していく。若いころ経済的な理由…

日常業務の中にある研究素材

私の場合、損保会社の保険引受人(アンダーライター)の仕事をしていたとき、ある保険商品がなぜ企業に役立つのかを解説するための論文をマーケティングの一環で書いた。保険商品自体が研究素材になったわけであるが、論文の構成は保険商品の解説というより…

「論文博士」を導入する大学にとってのメリット

たとえば、指導料や審査料に仮に30万円を徴収したとしよう。大学としては30万円程度では利益に貢献しないといえるだろうか。ドイツ型やフランス型の論文博士制度を導入した場合の最大のメリットは、大学が外の知を取り込めることではないかと考える。とくに…

博士号のない教授のための「論文博士」制度

松野弘氏は『サラリーマンのための大学教授の資格』(星雲社、2014年)のなかで、大学教授になるには博士号が必須であり、社会人教授についても博士号の取得を要件とすべきことを提言する。専門的・学術的な教育を受けておらず、博士号はもちろんのこと、修…

「論文博士」の起源はドイツやフランスか

仕事柄よくドイツの再保険会社の人と面談することがある。名刺交換すると博士号取得者が多いことに気がつく。先方は普通のビジネスパーソンであり学者でもなんでもない。不思議に思っていたが、どうやらドイツには日本の論文博士に類似する制度があるようだ…

就職活動が不要な「論文博士」

課程博士の就職難が改善されない。これは1990年代以降に大学院重点化政策が実施され、大学院生が急増したためといわれている。そもそも大学教員という就職先がそんなにあるわけでもないのになぜ大学院重点化がなされたのであろうか。もちろん、わが国の基礎…

査読付き論文の活用方法

査読付き論文の話も出たので説明しておく。一般的に複数の審査員の指摘を経て、その後加筆修正しながら論文の質を上げ、最後に審査員の方々の承認を経て、学術誌に掲載される論文のことである。私が「損害保険研究」に投稿していたころは、査読付き論文の制…

「論文博士」の学位申請書類

次に、だれでも申請できるとはいえ、たとえば、東京大学の場合、学位申請者は次の申請書類を準備する必要がある。ちなみに△は場合によって提出する書類で必須ではないようだ。この申請書類一覧も「学位申請者(論文博士)のための手引き」に記載されている。…

開かれた博士号への道

日本だからこそ論文博士の制度は残すべきであると思うのは、次の理由による。まずヨーロッパ大陸諸国の大学に比較して圧倒的に学費が高いので、論文審査料だけで済む制度は社会人にとって貴重であるというものである。そもそも、日本では子どもがいれば子ど…

「欧米では」という議論の違和感

前回の「諸外国」とはどこの国を指しているのだろうか。違和感のある議論のスタートとして、相当な権威のある方でも「欧米では」という表現が使われ、ヨーロッパとアメリカを同質に扱う傾向がみられる。しかし、ヨーロッパとアメリカは異質であり、ヨーロッ…

「論文博士」は廃止されるのか

将来的に論文博士は廃止されるという意見もあるが、どうなのだろうか。 2005年6月13日、文部科学省の中央教育審議会の総会で大学院改革に関する中間報告「新時代の大学院教育 - 国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて - 」の中で「論文博士の在り方の検…

文系の「論文博士」の評価基準は明確か

一般的に論文博士で博士号を取得しようとするケースは、①大学教員でありながら博士号を取得されていない者が論文を提出して学位を申請する場合、②社会人が自分の職業経験をベースに、その経験を理論化して論文を提出して学位を申請する場合の二つのパターン…

文系の「論文博士」と「課程博士」は同じ水準か

博士論文の水準にかんしては、近江幸治『学術論文の作法』(成文堂、2011年)によると、早稲田大学大学院法学研究科の例を挙げて、特定のテーマに関して、執筆者の創造性と高い知見とが要求され、分量は外国人留学生に140,000字程度を要求しているので、それ…

「論文博士」とは何か

これから話を進めるためには、まず論文博士について理解する必要がある。まず、博士には2種類あり、学校教育法104条1項に基づいて、大学院の博士後期課程を修了によって取得する博士号を課程博士といい、同第2項に基づいて大学院への在籍とは関係なく論文提…