職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

2022-01-01から1年間の記事一覧

憲法改正はイデオロギーを捨てて考える

選挙が終わり、自民党による憲法改正案や緊急事態条項の創設といったことが議論の遡上に載ってきました。今まで真剣に考えたことがない人も、ここで少しは憲法について考えておいた方がよいのかもしれません。そのとき、保守や革新、右派や左派といったイデ…

要人暗殺にみられる一定のパターン

元首相が暗殺されるという事件が起きました。日本だけはそのような物騒なことは起こらないと思っていた人も多いと思います。この治安の良い日本で起きた暗殺事件だけに、衝撃も大きかったのかもしれません。偶然にも過去の暗殺の事例について分析した資料を…

地球温暖化と炭酸ガス排出に相関はない

炭酸ガスによる温室効果が地球温暖化に影響しているということが、多くの人々の共通認識になってしまいました。本当にそうなのか、と誰も疑わないのは、気候変動に関する政府間パネル(以下「IPCC」)という団体によって発信される報告書に、そのように書いて…

誤った地球温暖化論に切り込む一人の研究者

炭酸ガスの温室効果によって地球温暖化が生じているということに、懐疑的な見解を表明している研究者は多いですが、その中でも元祖的な存在の一人に赤祖父俊一氏がいると思います。アラスカ大学国際北極圏研究センターの所長を長く勤め、オーロラに関する研…

社外取締役というバブル

社会人教授の次は、もっと大きなバブルが生じていると思われる、社外取締役という仕事について考えてみたいと思います。これも自分にとって身近なテーマですが、社外取締役の仕事は、業務執行役員、すなわち経営陣に対する監督が重要なものとなります。決し…

社会人教授というバブル

社会人教授という職種はバブル化しているようです。その意味するところは、ある一定数の人が実態以上に評価されている、あるいは本当の実力が不明瞭でありながら、その地位に就けている状態といえそうです。私にとって比較的身近な存在なので、現在バブルが…

社会人大学院生は10年から20年後の成果を目指す

1990年代初めから大学では大学院重点化ということが行われています。大学における教員のポストが増えるわけでもないのに、なぜ研究者を養成する大学院を強化していったのでしょうか。いろいろな理由があるようですが、酒井敏『野蛮な大学論』(光文社新書、2…

「自然死」を実践した偉大な医師

父が年齢を重ねて、人生の終わりに近づいてきたと感じたときに、平穏死や自然死に関する書籍を何冊か読みました。誰であろうと、自然な形で逝けるのが理想だと思い、病院で多くの管につながれて終わりを迎えるのは不自然だと思ったからです。 いくつか読んだ…

「だ・である調」から「ですます調」へ

はてなブログからのメール案内で、ブログを「開設して2年が経ちました」と連絡がありました。ちょうど、文体を「ですます調」に変更しようか考えていたので、このタイミングで変えることにしました。このようなシンクロニシティ、いわゆる共時性に従うことを…

研究の世界に「選択と集中」は必要か

日本の研究力の低下に関する記事をよく目にするようになった。天野郁夫『国立大学・法人化の行方』(東信堂、2008年)によると、国立大学については、法人化後に外部資金獲得の涙ぐましい努力や、経費節減のための人員配置の効率化、職員の企画力や業務遂行…

オンライン教育に過度の期待はできない

オンライン教育というものをどのように考えていくべきか。もろ手を挙げて賛成とはいかないかもしれない。自分自身は、大学院の博士課程をほぼオンラインで受講している。約1年3か月になるが、大学院に行った回数は2回である。そして、博士課程の場合は、指導…

デジタル化で幸せになれる人は多くない

デジタル化で世の中は究極の監視社会となる。金融機関は、私たちの信用スコアを持ち、一人ひとりを格付けする時代がくる。たとえば、今でも信用調査によって、カードローンで借りることができる金額の上限が人によって異なるが、デジタル化が進めば、もっと…

医学博士は医療の専門家ではないのか

外科医の大鐘稔彦『私が"足の裏の飯粒"を取らなかった理由』(アートヴィレッジ、2021年)によると、医者の二人に一人は博士号を持っているという。コロナでテレビ解説に出てくる専門家に医学博士は多いが、そんなに意味のあるものではないということだろか…

人間が死ぬことを忘れた超エリート

人間はいつか死ぬのに、多くの野心的な行動をとり、意欲的な意思決定をする。非常に不思議である。身近な例であれば、会社に入り出世したいと考える。最終ゴールが代表取締役だとして、その先に何があるだろうか。あるいは、学問の世界では教授になり、より…

食の安全よりも生産性なのか

以前から食べたものが体を作るとは考えていたので、明らかに体に悪そうなものは避ける努力はしていた。パンデミックの前から食と免疫の関係にも興味があった。加工食品の表示をみればおそろしい数の添加物の名前が表示されており、一つひとつに意味があるの…

緊急事態条項は不要 - 憲法と法律のバランス

5月3日の憲法記念日に、岸田首相が憲法改正や緊急事態条項の新設についてメッセージを発し、それに対して反発の声が上がった。そもそもなぜ憲法改正や緊急事態条項が必要であるかの議論は十分なされているとは思われないが、そこに注意を払ってこなかった国…

本の出版から恥をかき学ぶ

二冊目の単著の専門書となる『先端的賠償責任保険-ファイナンシャル・ラインの機能と役割』(保険毎日新聞社、2022年)を上梓した。正直、一冊目の時より情熱が薄らいでいたかもしれない。そうなるのが当たり前だろうか。そして先日、自分の著書のページを…

文系の「論文博士」から「早期修了プログラム」へ

将来、論文博士の制度が廃止されるのかどうか、という議論がある。私見は存続させてよい制度だと思うが、文系に関してはほとんど利用されていないか、各大学で受け付けていないのではないかと思う。自分も経験者としていえるが、どこの大学もほとんど門前払…

子どもが多くてすいません?

一年以上前に渡辺由美子『子どもの貧困』(水曜社、2018年)を読んで、貧困層にいる子どもたちを支援しようと決めておきながら、そのことを忘れていたことを思い出した。当時、NGOを通じて海外の二人の子ども支援していたが、一人減らして、もっと身近な日本…

ジョブ型もメンバーシップ型も選択肢にすぎない

ジョブ型かメンバーシップ型か、どちらがよいかというのは不毛な議論かもしれない。どちらを心地よいと思うかは人によって異なるし、人の一生の間で最初はメンバーシップ型がよいと思っても、年齢を重ねるとジョブ型がよいと考える人もいるかもしれない。 あ…

人生で大学に三回入学する

大学に三回入るとはどういことか。吉見俊哉『「文系学部廃止」の衝撃』(集英社新書、2016年)によると、OECDの2011年のデータ等に基づくと、日本の大学の25歳以上の入学者が占める割合はわずか2%しかいない。世界の先進国でこれほど低い割合の国はないとい…

社会変革運動の「ポリティカル・コレクトネス」

ポリティカル・コレクトネス(political correctness)という言葉を聞いたのは、2011年にカナダに住んでいたときだ。英語の授業の教材を読んでいるときに、このテーマが出てきて英語の先生が説明してくれた。文字通り表現が「政治的正しさ」や「政治的妥当性…

大学院重点化の失敗を成功に転化する

大学院重点化は失敗だった。1991年以降、東京大学大学院法学政治学研究科をきっかけに重点化を実施し、その後、他の国立大学も追随していった。その結果、大学院生は増加するものの、質の低下を招き、大学院修了後の就職先もない状況で、多くの無職の博士号…

戦争はいつも情報戦からはじまる

第二次世界大戦後に、戦前と戦中に出版された書籍に対して、GHQが主導して焚書が行われていた。日本の歴史的な真実はかなりかき消され、その後の日本人が過去の事実を知る手段を奪われてしまったといことである。当時、日本が戦争をはじめた理由や、戦前の日…

社会人の戦略的な文系博士号の取り方

博士号に挑戦するのは何歳からでもいいという。吉岡憲章『定年博士』(きづな出版、2020年)によると、吉岡氏は2012年に修士課程に入学し、2019年に博士号を取得するまで、壮絶な経験を経ていることがわかる。博士号取得時の年齢は77歳で、MBA取得時が73歳で…

プーチン大統領は偽旗作戦のターゲット

善悪の価値判断を排して戦争と富について考えてみる。ウクライナの戦争について主要メディアは、反ロシア、反プーチン一色になっている。もちろん一部では、ロシアは共産主義勢力に押されて耐えきれなくなり、戦争に追い込まれたという説もあるし、プーチン…

PCR検査の蔓延がパンデミックの原因

パンデミックも終盤戦に入ってきているのだろうか。各国で規制の緩和が始まっているようである。しかし、今回のパンデミックの原因を探求し続ける必要性は大いにあると思われる。そうしないと、また同じことを繰り返すことになるからである。次は気候変動や…

「デモ」は重要な表現手段であるのに

カナダのトルドー政権がトラック運転手たちを含む市民のデモに対して強硬手段を使い排除に乗り出した。もともと市民によるデモは平和的なものだったようである。報道規制も敷かれているので、日本からどれだけの事実が入手できるのかわからないが、少なくと…

文系サラリーマンの博士論文

数年前に「文系学部廃止」などという内容の書籍が出版されていたが、文系の学問も「科学」であり論理的思考を鍛えるのに有用である。また、社会で役に立たないということではなく、大いに役立つ学問である。パンデミックについても自然科学の世界の人間だけ…

メディアの「プロパガンダ」を疑う

上海に在住している弁護士の森脇章氏が、大林啓吾編『コロナの憲法学』(弘文堂、2021年)のコラム「中国 ー 徹底した強制型アプローチを支える自由と秩序の観念」で、中国の報道について次のように描写する。 中国政府や関係部門の広報として、新型コロナウ…