職人的生き方の時代

自分だけの生態学的ニッチで生きる

日本保険学会で報告デビュー!

昨年のシンポジウムで報告し、その後、論文掲載の予定でしたが、病気で寝たきりになり実現しませんでした。当時、緊急事態にもかかわらず、迅速に対処いただいた同志社女子大学・大倉真人先生にはお礼の言葉もありません。

今回は、初めての学会報告で、事務局にも調整いただき、論文も機関誌に掲載いただくことになりました。もう「がんばる」ことはやめて、周囲に助けられながら軽やかに生きいこうと思います。

報告はハイブリット形式で対面とオンラインでの参加が可能です。また、会員以外の方にも開かれているので。ぜひご検討ください。

日時:2026年9月11日(金)15:00~18:20
場所:損保会館(東京・御茶ノ水)
16:10~17:10 報告2 
 テーマ:「D&O保険のグローバル保険プログラム」
 報告者:山越 誠司(オリックス) 
 司会者:李 芝妍(東洋大学)

------ ここからはお知らせです -------
日本保険学会は、700名以上の大学関係の研究者と実務家が参加しておりますが、会員を増やしたいという意向もあるということで、会員を絶賛募集中です。

実務家が470名と実は純粋な研究者よりも実務家が多い学会になります。年会費6000円で、「保険学雑誌」という機関誌が年4回送られてきます。会員名簿ももらえるので、「この人も会員だったんだ!」という意外なつながりも見つけられます。

学会の特徴は、法学分野および経済・商学分野の混合で、保険数理士などの数学系の方もいるという学際的な点が挙げられます。よって、保険学雑誌の論文も興味深いものが多いです。また、80年以上の歴史がある古い学会のようです。

入会には会員2名の推薦が必要なようですが、1人はわたしとして、もう1人は事務局で調整してくれると思いますので、ぜひ事務局にご連絡ください。

申込および連絡先はこちら↓

www.js-is.org

 

デジタル案内板で感じる京急の遊び心

京急本線の上大岡駅で、むかしながら反転フラップ式の案内板を見つけました。実はこれ、デジタルでむかしのパタパタ回転する案内板を再現しているだけなのです。

https://www.youtube.com/watch?v=rwk7pekl-sw

この案内板を社内で立案して、稟議をあげた担当者の「遊び心」には感服いたします。冷静に考えれば単なる無駄で、売上に何も影響しないと上席者に切り捨てられるかもしれない案件です。

ほとんどの従業員がやるかどうか躊躇する企画でしょうが、ダメ元でやってみようという社風なのかもしれませんね。承認した上席者も立派だと思います。

このような企画は、やっている当人たちの「ワクワク感」が伝わってきます。仕事とは、厳しく苦しいだけではないということを示す典型ではないでしょうか。

よくよく見ると「久里浜工場」のような、いつ使うことがあるのかと思うような表示もあり、なかなか凝っています。

また、京急各駅の電車接近時のメロディーは、ご当地にちなんだ曲が採用されています。たとえば、小田和正さんの実家のある金沢文庫駅は、ご本人の曲の「MY HOME TOWN」、山口百恵さんの出身地の横須賀中央駅は「横須賀ストーリー」などです。

重要なことは、売上にも利益にもならないと切り捨てるのは早計だということです。このような粋な企画に対して好意的なファンは、京急沿線に住むかもしれません。あるいは、ひとつ株主になってみようか、と思う人も出てくるかもしれません。

利用していて楽しいとか、ホッとするとか、興奮するというのは大切な要素だと思います。これはあらゆる業種に通じる真理ではないでしょうか。従業員のワクワク感は、顧客に伝播すると思います。

 

AIの普及で資本主義は静かに終わる?

妻がフランス人なので彼女は日仏文化交流ができる事業に取り組んでいます。そこで先日、Wixというホームページ作成ツールでAIを使い、リンクのHP作成を手伝いました。

www.sakura-loire.com

かかった費用は、ドメイン代の約2万円だけだと思います。これを業者に頼んでいれば、最低でも10万円はとられたと思います。わたしにとっては安くできてよかったです。

でも冷静に考えると、日本経済は10万円の売上を失っています。日本人がみんなAIを使って、自分で物事を完結できるようになれば、日本の売上が下がり、日本のGDPも下がることになります。

そこで、仮説としてAIの普及により経済が縮小し、資本主義というものが成り立たなくなるのではないかということが言えないでしょうか。

たしかに、わたしは約8万円を節約できた。その分を本の出版・旅行・外食・投資など別の用途に使えば、その業界の売上になります。つまり、GDP全体では「どこにお金が流れるか」が変わるだけという見方もできます。

ところがAIは、翻訳・デザイン・プログラミング・ライティング・会計・法律文書・ホームページ制作など、あらゆる知的サービスを少人数・低コストで提供できるようにします。つまり、産業革命のときのように、新しい産業も生まれないので既存の付加価値そのものを圧縮する可能性があります。

一方、わたし自身の満足度は下がっていません。むしろ、安くできた、思いどおりに修正できた、すぐ公開できたということで、満足度は向上しています。つまり、「GDPは下がっても、豊かさは下がらない」ということかもしれません。

何だか書いていてかわからなくなってきましたが、ベーシックインカムという選択肢も含めて、次の世界のことを考えたほうがよいのかもしれないと思いました。

 

資格試験 vs. 社会人大学院

資格試験は、決められた散歩コースを何度も歩くイメージです。一方、社会人大学院は、自分で散歩コースを決めることができて、遠回りすることも、近道を行くこともできるイメージです。

資格試験は正解があるので、結果が点数ではっきりとわかります。社会人大学院は、自分の研究テーマについて正解がないので、結果が点数でわからず、論文という成果物で定性的に評価されます。

資格試験は合否の結果が出て資格証をもらえばゴールです。社会人大学院は論文で学位の授与が決まりますが、そこからがスタートになります。

正解のない課題に対して悪銭苦闘する「場」としての社会人大学院は、AI時代に行ってみる価値はあると思います。

先行研究を一通り調べて、自分なりに理論を展開し、「仮の結論」に到達します。そして必ず「残された課題」が出てきますので、その課題を次の論文で取り組みます。その繰り返しです。

結局、死ぬまで「残された課題」を追い続けることになるのが社会人大学院の効用であり、定年で終わりとか、ここがゴールということがない点、わたしはよかったと思えることかもしれません。

とは言っても、来年の受験のために基本情報技術者試験を勉強中ですが。

 

 

researchmapとやらに登録してみた

researchmap(リサーチマップ)は、日本の研究機関に在籍する研究者の経歴や論文リストを収集したインターネット上のデータベースサービスです。科学技術振興機構(JST)が運営しており、研究者が自分で情報を入力していくDIYのプラット・フォームになります。

この度、ただの民間企業のサラリーマンも登録できるのかやってみたところ、立派にできました。

https://researchmap.jp/seiji_yamakoshi

便利だったのは、外部データを取り込む機能があり、論文や書籍は自分で記入しなくてもよかったこと。一方、過去の講演やセミナーは外部データが残っていないので手入力でした。

そして、面倒だったのは経歴で、こちらも手入力になります。転職回数が日本人にしては多いので、これが煩雑でした。また、オリックス株式会社には、再々入社しているものの、その点は省略しました。

もうこの年齢になると、経歴などどうでもよくなってきます。仕事探しをするとしても、もう転職市場でというより、人の伝手になるのではないでしょうか。

社会人大学院について動画を撮ってみた

実家の札幌に帰省した際に、藤本高等教育研究所の藤本研一さんと動画を撮ってきました。前半は社会人大学院に関するQ&Aです。後半ではテーマに沿っての対話になります。社会人大学院の効用について特にお伝えしたかったことは以下の2点。

社会人大学院への質問、すべてお答えします!『学び直しで「リモート博士」』著者・山越誠司さんからのご質問!

・20:20 競争社会から降りるための大学院
・21:40 1つの専門分野を確立した人が2つ目の専門分野を目指すのは比較的容易(第1外国語をマスターした人は、第2外国語をマスターするのが容易であるのと同じ原理)

 

以上です。

※    音声が小さくて聞き取りづらいかもしれません。

モニタリングだけの社外取締役は嫌ですよね

珍しく自分の専門分野に近い話題です。かつて、「社外役員のリスクと特化型D&O保険」商事法務2290号(2022年)という論文の中で次のように述べました。

「わが国においてモニタリング・モデルかアドバイザリー・モデルかも含め社外役員の果たすべき役割が明確ではなく、社外役員の外形基準のみが先行し本来の目的の共有も不足していることがいわれる。しかし、単に社外役員が助言者の役割を期待されるというのであれば、顧問として活動することでもその目的は達成することは可能であり、やはり委員会等設置会社が導入された経緯も考えると、モニタリング・モデルの観点で取締役会をとらえることが妥当である。」

でも4年の歳月が流れて考えが変わりました。そんなにモニタリング・モデルが優れているのであれば、なぜエンロンやワールドコムのように会社が破綻するような粉飾事件が発生するのでしょうか、という単純な疑問のせいです。

理由はいくつかあると思われますが、おもに独立性のある取締役には情報が届いていなかった、複雑な会計・金融取引・デリバティブなどの知識が不足していたなどがあるでしょう。

結局、点検・追及ばかりの社外取締役がいれば、業務執行取締役は情報を出したくなくなります。それに加えて、情報不足の中でモニタリング機能を発揮できるためには社外取締役の側にも、半端ではない専門知識が必要になります。

専門性のある社外取締役は十分存在しているので大丈夫だという意見もあるでしょうが、情報が不足していれば、不正も見抜けません。そもそも複雑な金融取引であれば、それを取り扱っている専門家でさえ取引の構造がわからなくなることもあるくらいですから、専門性のある社外取締役が機能するとしても情報を十分に持っていることが大前提だと思います。

そこで、日本やドイツ、アジア諸国のアドバイザリー・モデルとアメリカ型のモニタリング・モデルの融合型が望ましいのではないかと思うわけです。業務執行取締役に近い目線で同じ情報を共有することができて、はじめて監督もできるというものです。仲良しクラブということではなく、まずはお互いの信頼関係が成り立たない限り、情報の非対称性は解消されないのではないかと思ったわけです。